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楽しんで勝つ。それが男の矜持
手倉森ジャパン発足後、中島翔哉が決めたゴール数は『18』。これはチーム最多得点である。
長らく、背番号10を背負ってきた。しかし、6月29日のU-23南アフリカ戦(4●1)。中島の背中に『10』の文字はなかった。「10番を背負えるかどうかは気にしていない」と本人は語るが、今季なかなかJ1のピッチを踏めず、さらに4月に負傷を負ってからは別メニューが続いていたアタッカーは、間違いなく踏ん張りどころを迎えていた。
そのU-23南アフリカ戦、中島は一発回答をしてみせた。流れの中から立て続けに2得点。「これまでは足元でのプレーが多かった。でも、けがの間に見直して、狭い空間でも前を向いて、スペースやゴールに向かうように意識を変えていった」(中島)。ゴールのシーンは、いずれも味方のパス、クロスをペナルティーエリア内で受けた形。まさに言葉どおりの進化の姿を見せ付けた。
武器は巧みなテクニックとドリブルでしかけていくプレー。五輪に向けて、中島はこう語る。
「日本の組織力を発揮できれば、勝つ確率は上がると思う。でも、個人で勝負しないと意味がないし、毎試合ゴールを奪うプレーをすることが、チームが勝つために必要だと感じている。性格的に何か重く考えるタイプではないけど、日本代表の責任や覚悟はしっかりと持っている。それを持った上で、サッカーを全力で楽しんで、勝ちたい」
楽しむ=勝利。厳しい見方をすれば、これは甘い考えだと捉えられるかもしれない。しかし、彼は堂々と、「サッカーを、試合を楽しみたい」と話す。楽しむ――。それは中島にとって、相手を突破し、敵のゴールを陥れること。それはすなわち、勝利につながるプレーだ。
FC東京には、北京五輪代表の梶山陽平とロンドン五輪代表の東慶悟と、過去2大会で日本の10番を背負った選手がいる。前述のとおり、中島は背番号にこだわりはないと言うが、こんな言葉を付け加えている。「五輪でも常に一番目立つ活躍ができる選手になれるように頑張りたい」。突き抜けるほどに強い自負を持つ、強気な中島。10番はやはり彼にピッタリな番号だ。( 西川 結城)