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[広島]光陰矢の如し。若者は高い壁に挑戦し続ける/浅野拓磨 特集

2016/7/6 11:30


Photo: Norio Rokukawa

 あっという間の3年半だった。いや、“ともに戦った”という意味では実質的に1年と少しである。四日市中央工高から広島に加入してから2年間、浅野は我慢強く飛躍のときに備えていた。そして昨季のJ1・1st第6節・FC東京戦(2○1)でJ初ゴールを奪って勢いよく飛び上がると、もう広島のキャパシティーを越えて海の向こうに渡っていってしまう。リーグ戦55試合出場10得点。もっと彼とたくさんの試合を戦って苦楽をともにし、ゴールの歓喜を分かち合いたかった。この思いは広島に関わるすべての人々の思いだろう。
 ただ、これまでは契約満了によってチームを去る選手ばかりだった中で、浅野は5億円を超える移籍金をチームに残してくれた。そして「われわれ育成型のクラブにとってビッグクラブからのオファーがあったことはうれしいこと。ウチにいる選手にも育成年代の選手、指導者にも一つの物差しができたし、スタッフ全員が誇りに思っている」と足立修強化部長が語ったプライスレスな価値も含めると、この移籍は本人にとってもクラブにとっても良い移籍となったことは間違いない。
 しかし、これから浅野が成功を収めなければ本当に“良い移籍”とは言い切れないだろう。飛び込む環境はさっそく欧州トップレベル。低くない壁にぶつかることは必至だが、浅野は高校を卒業したときも高い壁への挑戦を決めた。前年度のJリーグチャンピオン、そして得点王でありJリーグMVPの佐藤がいるチームに飛び込むと、そこで壁にぶつかりながら日々を全力で過ごして成長を遂げていった。
「高みを目指して」、「目の前のことを100%で頑張る」。浅野はこの二つの言葉を移籍会見で何度も口にしたが、この3年半もずっと同じことを口にし、練習場でその姿勢を貫いてきた。浅野はその姿勢を欧州でもきっと貫く。
「日本のエースになりたい」。その日まで、どんな高い壁も乗り越えていくに違いない。(寺田 弘幸)

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