新たに幕を開けた、J1・2ndステージ。9位に終わった1stステージの悔しさを胸に戦うFC東京に、うれしい報せが届いた。
8月に開幕するリオ五輪。そこに参加するサッカー五輪代表のメンバーに、DF室屋成とMF中島翔哉の二人が選出された。両者は1月に行われた、五輪アジア最終予選でも手倉森誠監督率いるチームの中心選手としてプレーしていた。指揮官の厚い信頼の下、サッカー王国・ブラジルで戦う18人の精鋭に今回も名を連ねたのだった。
1月の最終予選。最後はライバルの韓国に逆転勝利を収め全勝優勝を果たした日本の面々は、日本国内で一躍ヒーローとして扱われた。
貴重なゴールを決めた中島。明治大在学中ながら、プロの選手と遜色のないタフなプレーを見せた室屋。しかし、彼らの歩みはそれ以降、ここまで決して順風とは言えない状況だった。
キャンプ初日に突然の試練
最終予選の熱気が冷めやらない中、室屋は大学生の肩書のまま今季、FC東京に加入した。しかし、すぐに悲劇が彼を襲う。2月中旬、宮崎キャンプの初日に左足を負傷。診断の結果、全治4カ月の重傷だった。期する思いで飛び込んだプロの世界。代表での活躍の勢いそのままに、FC東京でもレギュラー争いに挑もうとしていた矢先のアクシデントだった。
五輪までは、まだ時間がある。とはいえ、診断どおりの期間でけがが癒えても、そこからプレー感覚や試合体力を100%に戻すためには相当な時間を擁するかもしれない。万全な状態でないと、世界を相手に渡り合えるわけがない。「けがをしてから少しの間は、焦りがなかったと言えば嘘になる」。将来を嘱望されている若きSBは、いきなり壁にぶち当たった。
リハビリ中、室屋に励ましの態度と言葉を寄せた選手がいた。
「リハビリもトレーニングも厳しい中、心が折れそうになることもあった。でも横を見れば、ナオさん(石川直宏)が音を上げることなく頑張っていた。その姿勢やナオさんの言葉を聞いて、自分は前を向くことができた」
石川は昨夏からけがで長期離脱を余儀なくされている。その彼の懸命な姿を目にした室屋。チームを代表するベテラン選手が復帰に向けて努力している中で、自分が下を向いているわけにはいかなかった。
そして、先月のJ3の試合で復帰を果たすと、室屋は「自分が想像していたよりも早くコンディションが上がっていた」と語るように、どんどんパフォーマンスを上げていく。6月29日に行われた、五輪前最後の国内試合(U-23南アフリカ戦)の先発として同代表に復帰すると、左右両SBで90分間プレー。見事アシストも記録するなど、タフでハードなプレーが身上の室屋が帰ってきた。
「プレーができなかったリハビリの期間も意味があるものだった。それを五輪で証明したい。けがの間に仲間が代表で戦う姿を見て、絶対にあのチームに戻りたいと思っていた。FC東京の代表として、国を背負って戦えることを誇りに思う」
明るい笑顔と力強い視線。再び本来の自分を取り戻した室屋が、世界の舞台に挑戦していく。