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[FC東京]東京から世界へ挑む、二人の若武者【室屋 成・中島 翔哉】②/特集

2016/7/8 15:21



誰よりも目立つ活躍を

 なかなか遠い、J1のピッチ。中島は今季開幕戦以降、トップチームのベンチに入れない日々が続いた。手倉森ジャパンでは10番を背負うエース格。それでも、城福浩監督率いるチームには、多彩な攻撃陣が存在している。その壁を、なかなか超えられなかった。
 中島の主戦場は、今季からJ3に参戦しているFC東京U-23となった。ボールを蹴る。そのシンプルな行為自体に最高の喜びを感じることができる中島は、気持ちを腐らせることなく毎試合チームをけん引し、成長を続けていた。
 そんな中島に、さらなる不遇が訪れた。4月下旬、練習中に右ひざを痛め、全治6週間の診断。それは、週末の試合でトップチームに帯同できるチャンスを得た最中でのけがだった。
「けがの間は退屈だった(笑)」とぶっきら棒に語る。しかし、そこで彼は自分のプレーを見直すことにした。
 テクニックが最大の武器の選手だが、「これまでは足元でのプレーばかりが多くなっていた」と自分を分析。改善に向けて参考にしたのが、欧州リーグのプレーだった。現代フットボールはスピードが生命線と言われる中、世界のアタッカー陣は縦に素早くしかけ、ゴールに向かうプレーをしていた。「どんなに狭い空間でも、ボールを受けたら前を向く意識をする。そしてスペースでパスを受ける。ゴールを奪うためにはこれが必要だと思った」。巧みな技術に加えて、常にゴールに向かう迫力。「けがをする前のままで復帰するつもりはなかった」。中島の強気な性格が、ここに表れていた。
 室屋と同じタイミングで、けがが癒えた中島も代表に復帰。するとU-23南アフリカ戦では堂々の2得点を挙げた。いずれも、ペナルティーエリア内に侵入し、味方のパスを押し込んだ。これまではドリブルでしかけてシュートを放つ形が十八番だったが、彼が体現してみせたのは足元だけではなく、まさにスペースに入り込んで仕事をするプレーだった。
 五輪行きが確定した中島は、大会での展望をこう語る。「日本の組織力を発揮すれば、勝てる確率は上がる。ただ、個人で勝負しないのでは意味がない。個人的には、毎試合ゴールを奪うプレーをすることが、チームが勝つために必要だと思っている。常に一番目立つ活躍ができる選手になれるように、頑張りたい」
 FC東京には、五輪の過去2大会で10番を背負った梶山陽平(北京五輪)と東慶悟(ロンドン五輪)がいる。「背番号は気にしていない」と中島は語るが、ここまで手倉森ジャパン最高の18点を挙げ、チームの攻撃を支えてきたのは紛れもなく10番を背負ってきた彼である。ブラジルの地で、エースナンバーを付けた姿に期待したい。

厳しい競争に勝ってこそ

 そして、中島と室屋の視線はいま、目の前にある東京での戦いに注がれる。
「サッカー選手である以上、一番高いレベルのステージ(J1)で戦わないと意味がない。五輪に行くまでにJ1でのプレーを実現して、チームに貢献したい」(室屋)
「自分をアピールするのは、五輪の舞台だけではない。J1、J3とどんな試合でも活躍する選手にならないといけない」(中島)
 青赤のユニフォームを身にまとい、勝利に向けて戦う。満を持して迎える、2ndステージ。目の前の競争に勝ってこそ、五輪での飛躍につながる。そのことを、二人は誰よりも理解している。
 この夏は、東京から世界に挑む二人の若武者から目が離せない。(西川 結城)

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