甲府はスーパーな個を求めて獲得した新外国籍選手がベンチにも座っていなかった。しかし、この試合で見せたパフォーマンスは、最悪の状況から脱するために必要な自信を少しは取り戻するものになった。
3試合連続で前半の早い時間帯に失点したことには頭を抱えたくなるが、その後に失点しなかったのは脆さからの脱却と捉えたい。早い時間に先制を許したことで、河本が走り込むはずだったスペースを埋められてしまい、唯一といっていい攻撃プランが使えなくなったことは痛かった。しかし、後半には希望と可能性が詰まっていた。
[5-4]の守備ブロックは元監督の城福さんへのトリビュートシステムではなく、J1に残留するたびに攻撃的な選手や起点となる選手を移籍で抜かれた末の最後の砦だった。しかし、今節はその砦を出て戦う場面が後半に多く見られた。ここ数節も先制されて打って出たが、ようやく“ポデモス(俺たちはやれる)”という形をつかみかけた。相手次第、状況次第でもあるが、足元でつなぐだけの素朴な戦術ではなく、前に出るパワーに一定の可能性を見いだせたのだ。
復帰したばかりの新井がこの試合でハムストリングを痛めた可能性があり、チーム事情が苦しいことには変わりはないが、畑尾、橋爪、新里、稲垣ら20代中盤の選手と、森、熊谷という10代の伸びシロに期待したい。
横一線だった残留争いで親友だった鳥栖(年間勝点13位)と湘南(年間勝点14位)に距離を置かれて年間勝点17位が定位置になりそうな甲府だが、八方塞がりではない。佐久間監督は焦りからか、我慢できずに外国籍選手を入れ替えて打開を図ろうとしているが、悪あがきも甲府の矜持。そのエネルギーは十分にあるはずだ。 (松尾 潤)