36歳にして大阪から初めて飛び出した稀代のパサーは、東京のピッチの上で優雅に舞った。
6月28日に期限付き移籍での加入が決まって以来、初の先発出場を果たした二川は、[4-2-3-1]のトップ下のポジションに入ると攻守に存在感を発揮。前線でボールを収めて起点となれば、時には下がりながらボールを受け、鋭いパスを広範囲に供給していく。「プレーもシンプルだし、それでいてすごく収めてくれる。攻撃が目立つけど、サッカーが分かっているから守備もサボらない」と中後が絶賛したように、出場2試合目にして早速フィットを予感させる働きをピッチで示して見せた。
「やはり相当うまいと感じたし、動き出せばボールが出てくる」と二川を評したのは、2列目で組んだ南。ボールを動かすことに長けたチームにとって、パス交換は選手同士で会話をするようなもの。徐々に波長が合ってくると、裏への動き出しやサイドのコンビネーションにパサーとなる二川の“質”が加わることで、多彩な攻撃を演出することに成功。選手個々の特徴が発揮され、攻撃に厚みが生まれた。
ただ、「まだ最初なので、さらに結果を出せばもっと落ち着いていける」と二川が言うように、本領を発揮するのはこれから。G大阪で一時代を築いた選手のプレーは、今節出場停止だった高木善を含め、ほかの若手にとっても大きな影響を与えることは間違いない。緑のユニフォームをまとった二川がチームに完全フィットしたとき、東京Vに新たなハーモニーが生まれているはずだ。(林 遼平)