この試合、讃岐の2トップとして先発のピッチに立ったのは木島良輔、徹也の兄弟コンビだった。兄・良輔はチーム4年目で、讃岐のカウンターサッカーを象徴するような中心選手。その兄を追うように弟・徹也は昨季讃岐に加入したが、これまで兄弟二人がそろってピッチに立つ機会はほとんどなかった。徹也は昨季、北野監督からの信頼を得られず12試合の出場にとどまっており、しかもその多くは短い時間での途中出場。途中交代でピッチをあとにする良輔とは常にすれ違いだった。
しかし、開幕前のキャンプでFW陣に負傷者が相次いだことで状況は一変した。チャンスを得た徹也は焦ることなく自らのプレーに集中できるようになり、パフォーマンスが徐々に安定。開幕戦(横浜FC戦・1◯0)から先発に定着した。兄弟先発そろい踏みの実現は、昨季とは逆に、コンディション不良で開幕から出遅れていた良輔が仕上がってくるのを待つ形となっていた。そして、第13節の松本戦(0△0)でついに同時先発出場を果たしたが、このときの前線は3トップ。純粋に兄弟で2トップを組むのは今節が初めてだった。
二人のプレースタイルは、兄弟とはいえ大きく異なる。ともにドリブラーではあるが、良輔は小刻みに相手の守備を掻いくぐるキレが持ち味。徹也は弓矢のように鋭い直線的な突破力のあるドリブルが武器だ。以前、「兄弟だから分かり合えるところはあるし、常にお互いを見ているから、ほかの選手よりは分かりやすいところがある」と徹也が語っていたように、今節のピッチ上でも兄弟二人がお互いの良さを生かし合うように躍動。徹也がカウンターで敵陣までボールを運べば、良輔がフィニッシュへと持ち込む。25分には左サイドから徹也がペナルティーエリア内に切り込み、ゴール前で待つ良輔にラストパスを送って決定機を創出するなど、兄弟ホットラインも垣間見えた。ともに三十路を越えているが、遅まきながら今後の“木島兄弟の逆襲”を予感させた。(松本 隆志)