さらなる高みを目指す、『8』の継承者
ハイライトは1st第16節・神戸戦(2◯1)のゴールだろう。
前半、相手の素晴らしいサッカーに大苦戦。良いところなく45分を終えようとしたところで、土居は一瞬のスキを見逃さなかった。小笠原からパスを呼び込み金崎とのパス交換で抜け出すと、チーム全体が息を吹き返す同点ゴールを叩き込んだ。続く福岡戦(2◯0)でも試合を決定付ける2点目。勝利を呼び込み、ステージ優勝をもたらす活躍を見せた。
ゴールを決めても、パフォーマンスは控えめだ。固く握られた拳が天を突くことはない。雄叫びこそ上げるものの、両拳は腰のあたりでギュッと握り閉めたまま。芝の上を滑ることも、跳び上がることもせず、自らを誇示するよりはチームメートと喜びを分かち合う。その姿は、“ストライカー”と呼ばれる人種とは一線を画す。
しかし、実績を残したことで“金崎の相棒”という評価は変わるだろう。大迫、ダヴィといったストライカーの影に隠れていた姿は過去のもの。試合を決める力を持ち、いまの鹿島には欠かせない一人へと成長を遂げた。今後は相手のマークが厳しくなることも予想されるが、本人もそれは織り込み済み。
「そうなってくれれば自分の成長の糧になる」と歓迎し、「本当の意味で頑張らないといけないのはここから」と思いを新たにした。
リーグタイトルを知らないまま小笠原、野沢が付けた8番を継承した土居。チームを頂点に導いたとき、彼の拳はどこに置かれるだろうか。(田中 滋)