際立った“ 湘南らしさ”。しかし、勝者は神戸
13分に渡邉のゴールで先制した神戸だが、序盤からリズムをつかめないでいた。配球役のニウトンは、湘南のダブルボランチによるプレスを外せない。2トップのレアンドロ、ペドロ・ジュニオールは、相手CB3人へのプレスというタスクがあったが、徐々にそれが停滞し、ドリブルで前にボールを運ばれ中盤で数的不利を作られた。藤田直之は「相手が解決策を見付けて、意識してやっていることは分かった」と悔しげに試合を振り返る。こうなると、各所のディフェンスには多大なリスクが生まれる。神戸の守備の鉄則は“前”のケアであり、ウイングバックをマークする神戸の両SBは相手の位置に応じてポジションを取るため、一発のフィードで簡単に背後のスペースを取られる状況が発生。アグレッシブさが仇となり“後ろ”のスペースを突かれるリスクが増え、徐々に重心が下がった。前節・鳥栖戦(0●2)で“試合の入り方”で後手に回った湘南は、同じ失敗を繰り返さない意志を見せ、球際の強さ、こぼれ球の反応でも優勢に立ち、“湘南らしさ”でピッチを染めた。 ただ、神戸のカウンターは強力だ。特に、縦へのパワーで魅了したペドロ・ジュニオールは、序盤からCBの脇からのクロスで湘南DFに圧力を与えた。後半に入っても湘南がテンポ良くボールを動かすシーンは続いたが、菊池が「やはり精度のところに課題がある」と話したようにゴールを捉えられない。逆に神戸は守備の忍耐を崩さず、78分、GKキム・スンギュのフィードからレアンドロが決める。忍耐を歓喜に変える、試合を決定付ける一撃だった。 湘南は内容面で格別なパフォーマンスを披露したが、終わってみれば勝ち点、得点ともにゼロ。その一方で、神戸の渡邉、レアンドロは決して多くないチャンスを着実に得点に変え、守備陣は最後の牙城を決して崩さなかった。粘り強く90分を戦ったホームチームの結果への執念も格別だったということだ。(小野 慶太)