それでも横浜FMにとっては貴重な勝ち点1に
どちらもリードしていた時間があっただけに、手にした勝ち点が『1』では物足りない。“痛み分け”という表現がぴったりの一戦だった。
「チームのみんなに申し訳ない」。伊藤をマークし切れず88分に同点ゴールを許した塩谷は責任を背負ったが、それぞれが胸に手を当てて自分にできたことがなかったかを問うべきだろう。勝機は間違いなくどちらのチームにもあったのだから。
前半は横浜FMの試合だった。5試合ぶりの先発となった中村を中心にメリハリのある攻撃を展開していく。守備でも前線からプレッシャーに行くときと自軍でブロックを組むときを巧みに使い分け、ピーター・ウタカにボールが入れば素早く挟み込んで広島にチャンスを与えない。そして、31分には中村の蹴ったCKをファビオが頭で叩き込んで先制。「前半はパーフェクトな内容だった」(エリク・モンバエルツ監督)。完全に横浜FMのペースで試合は進む。
後半、横浜FMはギアを上げた広島の背後を突いてカウンターからチャンスを作り出す。しかし、マルティノスと齋藤がチャンスを決め切れないで勝機を広げることができずにいると59分、佐藤とミキッチの投入によって試合の流れが広島に一気に傾いた。
ミキッチが右サイドに明らかなアドバンテージを生み出したことで横浜FMはゴール前を固めることしかできなくなり、中澤とファビオのCBコンビが我慢し切れなかった。81分に皆川が、83分に佐藤がミキッチのお膳立てによってゴールネットを揺らし、広島は逆転に成功する。
しかし、広島もこの勝機を生かせなかった。守備組織が崩れたわけではなく、ボール保持者へのプレッシャーがルーズで、ゴール前の1対1で勝れなかった。88分、伊藤にヘディングを決められ、試合は2-2のドローに終わった。 両チームともに痛い引き分けとなったことには違いないが、勝ち点1の重みは違う。3試合勝ちなしとなった広島に対し、横浜FMは4連勝を逃すも2ndステージ無敗をキープ。総得点で川崎Fをかわし、2ndステージの単独首位に立った。(寺田 弘幸)