ど派手なゴールを決める都倉や、ジュリーニョ。あるいはビッグセーブを見せるGKク・ソンユンや金山。さらにはFKで存在感を示す福森。首位を走る札幌では、得失点に関わる選手が脚光を浴びがちだ。しかし、そうしたチームを縁の下でガッチリと支えているボランチからも目を離してはいけない。
深井一希。11年のU-17W杯で大活躍を見せた、札幌の至宝が今季、まばゆい光を発し続けている。
この松本戦でも並外れた守備範囲の広さを示し、終盤には独走して決定機を作り出した。「自分の距離感の中にあるボールは、全部奪える自信がいまはある」とプロ4年目の若者は言ってのける。
ここまでのキャリアは苦しみばかりだった。ひざにメスを入れること2度。プロ入りからの3年間を「ただ休んでいただけ」と自身で言うほどに、リハビリばかりに費やした。ただしその間、筋力トレーニングに精を出した結果、強じんな肉体が構築され、それでいてスピードは衰えていない。主観で恐縮だが、これほど高いポテンシャルを持つボランチは、J全体を見まわしても稀有だと日々感じさせられる。
それでも「いまも、万全な状態の2割程度しか感覚が戻っていない」と言うのだから恐ろしい。果たして、ここからどれだけ大きな活躍を見せてくれるのだろう。
「将来はバルセロナに移籍するくらいのつもりで、サッカーをやっている」と発する表情を見ていると、単なる大風呂敷だとは思えない。「プロ入りから3年間は、ずっとけがをしていたから、今季がルーキーのつもりで、日々取り組んでいる」。
強く、速く、うまい。三要素すべてを有するスケールの大きな若者が、札幌を再びJ1へと導く。(斉藤 宏則)