背水の陣。もはやそれが、過度な表現ではないのかもしれない。クラブ関係者は、現時点では城福監督が退くことを否定している。しかし、クラブを取り巻くあらゆる人々が、チームの現状にざわめき立っていることは否定できない。衝撃的な敗戦後、スタンドからは常にブーイングが飛び、いぶかしく、懐疑的な視線をチームに送る者も少なくない。今季、6シーズンぶりに復活した城福トーキョーは、いま、窮地に立たされている。
勝負に「たら・れば」は禁物。それは承知だが、あえて誤解を恐れずに言えば、FC東京は2ndステージの4試合で4連勝を飾っていてもおかしくはなかった。
第1節の鳥栖戦は後半ロスタイムまで2-1のリード。残り数分で連続失点を喫して敗れた。第3節の福岡戦も1点リードしながら、再び後半ロスタイムの失点を含めた2失点で逆転負け。そして前節・柏戦、相手に決定機を作らせず、反対に自分たちは好機を積み重ねながらも0-1で敗北した。
試合後、柏のある選手からは「FC東京は普通に強かった。これで、なんで勝てないの?」という声が飛んだほど。どの試合も、相手に完全に屈したわけではない。ただ逆に言えば、スコアメークや試合内容を含めて、『こうまでして勝てないのであれば、あとはどう勝てばいいの?』という嘆きが聞かれてもおかしくない失態が続いているのである。
「結果には必ず理由がある」と、城福監督は数々の敗戦を不運だけで済ませようとはしない。その姿勢は良いが、一方で勝負の世界には“運も実力のうち”という言葉も存在する。理屈では説明できない、悲劇的な敗北を喫することだってある。そんなことを繰り返してしまっているいまの青赤。そして城福体制は、勝負に最も必要な自信を見失いつつある。
失地回復に向けた、年間勝点首位との一戦。手強い相手に、何ができるか。「積み上げてきたものがある。失いたくないものもある。流れを断ち切りたい」(城福監督)。勝てば、自信を取り戻すきっかけになるだろう。敗れれば、チームは音を立てて瓦解するかもしれない。
誰もが当然理解している。チームが向かう先を左右する試合になり得ることを。(西川 結城)