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[リオ五輪日本代表]MF 原川 力「リオ五輪は自分のサッカー人生の中で大きな分岐点になる」/インタビュー③

2016/7/22 15:09


Photo: ©JFA

日本人のメンタリティーを打破する大胆さが必要

――5月に行われたトゥーロン国際大会はいかがでしたか?
「海外の選手のメンタリティーとか、いろいろなサッカーがあるということを肌で感じられたのは良かったと思います。4試合の中で一番悔しかったのは初戦(パラグアイU-21戦・1●2)ですね。相手にしてやられたというか…。ずっとこちらがボールを持って試合を進めている中で、パラグアイは一つの縦パスとか横パスとかを常に狙っていた。そこに南米らしさを感じましたし、終盤の試合の運び方とかファウルのもらい方とかがうまかった。それで、こちらがイラ立ってしまう。それも、彼らは常にそういう戦いをしてきて、習慣になっているからだと思います。サッカーの文化の違いというか、そういう部分をモロに感じたのがパラグアイ戦ですね」

――負けてしまったあとのチームの空気はどうでしたか?
「代表で久しぶりに負けたんですよ。今年、初めて負けたのと、相手が年下というのもあってすごく悔しかったです。ただ、中1日で試合があったので、すぐにその悔しさをぶつける場所があった。そういう意味では、助かりましたね。気持ちも切れることなくやれました」

――パラグアイと同じくU-21で臨んできたイングランドはいかがでしたか?
「対戦した中でイングランドが一番強かったです。うまさはもちろんあるんですけど、完成されているというか。アフリカとか南米のチームはルーズさもあってちょっとしたスキもあるんですけど、イングランドはそれがまったくなかった。本当に完成されたチームという印象がありましたし、一人ひとりを見ても、中盤は攻撃も守備も何でもできる選手が多かったですね。そういう部分に直面して、自分も同じ中盤の選手としてすべてをパーフェクトにしなければいけないなと感じました」

――各大陸の選手と戦って感じた部分があると思います。
「南米のチームは勝ち方を知っています。ずる賢さというか。それが習慣化していて、ずっと受け継がれていると思うんです。パラグアイ戦はそこにモロにハマってしまった。プレーしていて、すごくやりづらかったです。『持たされているな』と思いながらやっていました。ボールは持てている中で、日本人のメンタリティー的に“失ってはいけない”という部分が出てしまい、大胆さが減ってしまいました。ボールを持って回している中で、シュートを打って外したら『なんでそこで打つねん!』みたいになる。だから、打たない。そういうところが出てしまいました。クロスを上げられるところで戻してしまったり、シュートを打てるところでパスを選択したり。そういう部分はなくさないといけないし、細かいプレーをするにも大胆さが必要なのかなと思います」

五輪での活躍が地元への恩返しになる

――U-23日本代表の手倉森誠監督のサッカーとはどういったものですか?
「いろいろな引き出しを持っていて、一つの考えに執着しない。ボールを持つこともそうだし、カウンターや、時間の使い方もそう。海外の相手とやっていくためにはいろいろなものが必要だと思うので、そういうことを含めてこの環境にいられるのは良いことだなと感じています。話す内容は守備のほうが細かいです」

――そういう場にいることで守備の部分が強化されるように思います。
「試合自体もまず守備から入りますし、試合のミーティングでも監督からはだいたい守備のことしか言われません。自分はそこに課題があるため、そこはすごく助かっています。攻撃はどこのチームへ行ってもできると思っているので、あとはそういった守備に対する慣れというか。海外の選手との間合いとかもトゥーロン国際大会で学ぶことができたという感じです」

――U-23日本代表のチームメートには同じ山口県出身で京都でも一緒にプレーしていた久保裕也選手(ヤング・ボーイズ/スイス)もいます。
「小学校のトレセンとかから一緒です。所属チームは違ったけど学校が一緒で、高校(立命館宇治高)からはチーム(京都U-18)も一緒だった。いつも二人で地元・山口の維新公園でボールを蹴っていたんですけど、そのときに『京都に行く』と話していました。仲良いですよ」

――13年に久保選手がヤング・ボーイズに移籍したことで刺激は受けましたか?
「刺激はもらいました。でも、そこで『自分も』と焦ることも大事なんでしょうけど、バランス(が大事)というか。バランスを保ちつつ、焦りながら焦らない。僕も海外へ行きたいという思いはありますけど、“自分は自分”と考えて、いつか行ければいいかなと思っています」

――リオ五輪では久保選手と一緒にピッチに立ちたいという気持ちもあると思います。
「それは強いですね。アジア最終予選のときも感じたんですけど、二人一緒に出場することで地元の人たちや先生が喜んでくれた。それが自分にとってすごく大きかったので、自分たちがリオ五輪で活躍することがお世話になった方への恩返しにもつながるのだなと感じています。二人で試合に出て地元を元気にすることができたらなと思っています」

――最後にあらためて、リオ五輪への思いを聞かせてください。
「何だかんだ、五輪出場がキャリアのポイントになっている選手は多いと思います。そこから海外に移籍したり、五輪で活躍してA代表に入ったり。そういう意味では自分のサッカー人生の中で大きな分岐点になると思っています。自分にとってすごく大事な時間になるのかなと。あとは、同世代の世界レベルというのをこれまであまり感じてこなかったので、そこを感じられるのは楽しみです。川崎Fでチームメートの嘉人さん(大久保)にも話を聞いたんですけど、アテネ五輪に出場できて良かったと話していました。世界大会には出たほうがいいとよく言われます。海外の選手と試合をしなければといけないと。いまの自分とのギャップを知ることで、彼らを超えるために何が必要かということが分かると思う。勝ち上がるのももちろんですが、リオ五輪ではその楽しみも大きいですね」


聞き手:竹中 玲央奈 取材日:6月7日(火)

原川 力(はらかわ・りき)1993年8月18日生まれ、22歳。山口県出身。175cm/72kg。レオーネ山口→京都U-18→京都→愛媛→京都を経て、今季川崎Fに完全移籍。J1通算4試合出場。J 2 通算7 1 試合出場1 得点。J3通算1試合出場。

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