Photo: Norio Rokukawa
川崎F、焦らず、騒がず、最後にしっかり仕留める
24,103人の観衆が足を運んだ多摩川クラシコは、両者の立ち位置を如実に示した結果となった。片や終盤の失点で後味の悪い敗戦を重ね、内容が良くとも勝てないという負の連鎖に入っているFC東京。対するは年間勝点で首位を走る勢いそのままに、スコアを動かせなくても焦れることなく最後には仕留め、リーグ戦におけるクラブ無敗記録も更新中の川崎F。結果としては1-0の最少得点差で終わったが、そこには明確な差があった。
ムリキとネイサン・バーンズが持つ個の打開力に活路を見いだしたいFC東京だったが、硬さを露呈し、明らかに慎重過ぎる入りだった。守備でも「バイタルのところでボールを持つ機会があった」と谷口が振り返るように、最終ラインと中盤のスペースをケアし切れず、中村やエドゥアルド・ネット、大久保らに簡単に間を突かれる場面が頻出した。橋本晃司と大塚のシュートがポストを叩く場面もあり、川崎Fがネットを揺らすのも時間の問題かと思われた。
ただ、川崎Fもゴール前まで安易に行けるがゆえに余裕が生まれたのか、最後の場面の質と集中力を欠いてゴールが奪えない。「崩して最後に入らないという試合で悶々とした」とは橋本晃司。だが、そんな中でも慌てず、自分たちのやるべきことを見失わないのがいまの川崎Fだ。決め切れない中でも冷静に、“いつもどおり”ゴールに迫り続けた。そして81分に車屋のクロスをピンポイントで合わせた小林が5試合連続弾を沈め、チームに勝ち点3を呼び込んだ。
「自分たちが焦れずにやり続けるということの良さが本当の意味で分かった」。中村もこう語ったように、また一つ、この成功体験がチームを強くさせる。負けることなく成長し、自信を深めていくいまの川崎Fの流れは、首位に立つチームにふさわしい姿だ。そして、リーグ戦の無敗記録を『14』へ更新。いまの川崎Fには、それが続いていきそうな気配がある。(竹中 玲央奈)