すさまじい光景だった。
地鳴りのような怒号と罵声。残留争いのライバルである甲府に敗れ、13試合未勝利で年間勝点17位に転落すると、スタジアムは激しい怒りに包まれた。「小倉出てこい!」、「グランパスをどうするつもりだ!」。そんな厳しい抗議の声とともに1,000人以上のサポーターが居残る事態となってしまい、時計の針が23時近くを指しても、その修羅場は収束しないままだった。
そんな中、久米一正社長は急きょ囲み取材に対応。報道陣全員を別室に集め、語気を強めながら言い切った。
「事実は真摯に受け止めて対応しなければいけない。ただ、小倉監督についてはフルサポートをしていく。絶対に逃げない。投げ出さない。あきらめない。何が起きても、監督は絶対に代えない」
フルサポートの具体案についてはコーチの入閣などを示唆。「私が先頭を切って、小倉をサポートする」と、事実上のGM職復帰を明言した。
また、新たな選手補強についても「しません」と言い切っている。試合後、ストレッチもせずにロッカールームへと集められた選手たちの前で、久米社長はそのことを最も強く訴えたという。
「この状況は誰も助けてくれない。このメンバーでやるしかない。(残留争いに向け)一つの赤い球になることが一番のキーポイントになる」
23日、名古屋は小倉監督の下で戦い抜くことを決めた。そうと決めた以上、名古屋に関わるすべての人が信じて結束するしかない。久米社長は「必ず復活させるが、もちろん責任は取る」と“もしも”に向けた覚悟を表明し、もう一度言った。「一つの赤い球になること。このメンバーで戦い抜き、このメンバーで残留を決める」と。
残りは12節。危機的状況に陥る名古屋は、その真価が問われることになる。(村本 裕太)