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J2で躍進する札幌の陰にブルーノ・クアドロスあり/EG FEATURES

2016/7/27 11:30


Photo: Hironori Saito
選手時代はダヴィを開花させる

「 ボア! ボア(! ポルトガル語でgoodの意)」
 札幌の練習場である宮の沢白い恋人サッカー場には連日、こうした強い檄が飛ぶ。07年に選手としてプレーし、今季からはコーチとして復帰したブルーノ・クアドロス氏の声だ。
「 いつの日かまたこの札幌で仕事をしたいと思っていたから、本当にうれしい。チームも首位にいるし、毎日すごく充実している」。J1昇格も成し遂げた思い出深い札幌の地で過ごすブルーノは高いテンションの日本語で、こう話した。
 ブルーノコーチ招へいの理由について三上大勝GMはこう説明する。「四方田監督をはじめ現在のスタッフは、選手たちの兄貴分のようなキャラクターが多い。その中に、強烈な厳しさを持った人材を加えたかった」とした上で、「加えて今季は3人のブラジル人選手を新たに獲得した。彼らの力をより引き出すためにも、ブルーノの存在はカギになると思っている」と続ける。
 現役時代には計5シーズン、日本でプレーしたブルーノ。札幌在籍時には来日間もないダヴィに日々、日本サッカーで成功するためのコツを説き、開花させた。チーム全体の指導のみならず、そうした部分にもクラブは期待を寄せている。
 今季加入したブラジル人選手の一人、ヘイスはこう話す。「ブルーノの存在は自分にとってあまりにも大きい。序盤戦はあまり先発に絡めなかったが、その都度、『この部分を改善すれば、監督の評価を高められるから、しっかり取り組もう』と前向きに接してくれた。それがなければ、自分がフィットするにはもっと時間がかかっていたと思う」。またジュリーニョも「日本のサッカーだけでなく、生活文化に馴染むことの必要性もアドバイスされた。彼は実際に日本で活躍していたわけだから、説得力がある。札幌名物のスープカレーも食べてみたよ(笑)」とリスペクトを表す。

日伯サッカー観の違いを調整 

 そしてブルーノコーチも、自らの役割についてより詳しく説明する。
 「監督の言葉は通訳のウリ(鈴木ウリセス通訳)がしっかり伝えるから問題ない。ただし、それをどう理解し咀嚼するか。そこを私が調整していく」
 例えば現在の札幌が採用する[3-5-2]の布陣にはウイングバックのポジションがあるが、「ブラジル人にとってのウイングバックと、Jリーグでのウイングバックはニュアンスがまったく異なる。ブラジルでのそれは攻撃の比重が大きいが、日本では最終ラインに加わることも求められる。それらに代表されるような、ブラジルと日本とでのサッカー観の違いを私のところで調整している」
 ここ数年、札幌は何人ものブラジル人選手を獲得しながらも、十分な活躍ができた選手は極めて少なかった。それが今季は3選手全員が主軸として躍動をしている。チームが首位を走る大きな要因の一つはブラジル人選手の活躍だが、それを引き出しているのがブルーノコーチの存在だと言い切っていいだろう。07年に続いて今季も、立場こそ違えど昇格請負人として仕事をやってのけるかもしれない。(斉藤 宏則)

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