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“マッシモ”の幻影と戦った城福浩/FC東京緊急特集

2016/7/27 11:30


Photo: © JFA
 非常に窮屈だった。城福監督は、自分らしさをほとんど出せなかった。いまとなってみれば、何にもとらわれずに、もっと思い切って理想とするサッカーに針を振り切っても良かったのかもしれない。
 しかし、なかなかそうはできなかった。本人は否定するだろうが、城福監督は、ある幻影と戦っていた。
 今回の解任劇の直後に、ファンやサポーターからあらためて出てきたフレーズ。それは、「マッシモ」。昨季まで2年間、青赤の監督を務めたマッシモ・フィッカデンティ氏(現・鳥栖監督)の名前だ。城福監督は、見えない彼の姿と戦わざるを得なかった。
 城福体制、さらには今後のクラブマネジメントを語る上で、切っても切れない話がある。昨季終盤、フィッカデンティ体制の終焉が公式発表される前に、今季からの城福体制が報道で明るみに出たことで、クラブは多くの批判にさらされた。年間順位4位、クラブ史上最高勝ち点を獲得したイタリア人指揮官は、結果の面で大きく支持されていたからである。
 一方、この監督は成績とは関係のないところで、チームを不安定にさせていたことは事実だった。選手との不和がロッカールームで爆発したこともあった。
 また一つ、クラブとフィッカデンティ元監督の距離を離す引き金になった出来事があった。
 昨季の1stステージという早い時期から、元監督は複数のライバルクラブに自身の売り込みをかけていた。プロの世界、彼らは一個人事業主であり、より良い条件を引き出すという行動自体は理解できる。しかし、タイトルを目指して戦っている最中に、早々にその行動がクラブ側に漏れてしまったことで、フロントからの信頼感が弱まっていった。複数の代理人を使い、複数のクラブに話を持ち込んだこともクラブの逆鱗に触れることとなった。体制継続が不可能になった、一因である。
 ただ、フィッカデンティ監督が出した結果は動かぬ事実として残った。城福監督が、当然その残像を全否定することはできない。逆風も吹く中でのスタート。結局、ズルズルと自分のやり方を前面に発揮できないまま、苦しんでいった。
 城福監督を招へいしたことは、クラブにとっては賭けだった。一からの新体制の下で、昨季の好成績を継続することは難しい挑戦。結局、ある意味定石どおりにその道は困難を極め、最後は頓挫してしまった。
 ここ数年は成績も観客動員も右肩上がりで来たFC東京。武藤嘉紀(現・マインツ)や太田宏介(現・フィテッセ)という実力も人気も兼ね備えた選手が去り、結果も下降してきた。難しい状況に直面するフロント陣。周囲からのプレッシャーの視線にさらされながら、今後の舵取りが命運を分ける。(西川 結城)

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