試合を通じてボールを握ったのは北九州だが、その要因は質の高い守備にあった。最終ラインの積極的なラインコントロールで岡山の1トップ2シャドーの動きをけん制。さらに相手ボランチへの効果的なプレッシャーで岡山にロングボール主体の攻撃を強い、準備万端の態勢でそれに対応。そうしてマイボールにする回数を確実に増やしていった。
良い守備をベースにうまく試合を運んだだけに、二つのセットプレーから先制と勝ち越しの2点を許したことはもったいなかった。柱谷監督が嘆いたとおり、ゴール前の対応はもちろんだが、岡山のセットプレーの威力を十分に理解していたにもかかわらず、いずれも不用意なファウルでFKを与えてしまった。PKながら1-1とする4試合連続ゴールを挙げた池元が発した、「自分たちのペースで運べていただけに、2点目が取れなかったことが悔しい」との声は小さかったが、小さいがゆえに感情が強くにじみ出ていた。
一方の岡山はボールを相手に握られながらも「焦れなかった」(長澤監督)ことが勝利のカギに。焦れない要因はもちろんセットプレーという破壊力抜群の武器を持っている自信から。16分の澤口の先制点、78分の岩政の勝ち越しゴールはいずれも伊藤が蹴ったFKから生まれた。セットプレーになった途端に、優勢に試合を進めていた北九州が急に混乱に陥る姿は、武器の脅威を如実に物語っていた。(島田 徹)