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何度も積み重ねた“仮想ナイジェリア”。狙いは最終ラインとメンタルのもろさ
選手招集がうまくいかない、コーチングスタッフに給料が支払われていない、ブラジル入りが遅れている…。ここに来て聞こえてくるのは、いかにも“ナイジェリアらしい”ニュースばかりだ。
しかし、だからといって油断はできない。アフリカ特有の身体能力と高い個人技が融合した攻撃に日本はいつの時代も苦しめられてきた。
初戦ということもあり、手倉森誠監督がナイジェリアを最も警戒しているのは間違いない。それはマッチメークからもうかがえる。5月にはガーナ、6月には南アフリカと、いずれもアフリカ勢と戦った。
だが“仮想ナイジェリア”はそれだけではない。
「ナイジェリアはブラジルと似ている」と指揮官は言う。確かにフィジカル、テクニック、スピードなど、両チームに共通点は少なくない。7月31日のブラジルとの親善試合はただ金メダル候補の胸を借りたわけではなく、本番のシミュレーションでもあったのだ。
すでに分析を進めている指揮官は、ナイジェリア攻略のイメージを頭の中に描いている。狙い目の一つは、決して盤石ではない最終ラインだ。
「攻撃のスピードはブラジルと似たものがある。でも、後ろのもろさがあるぶん、こちらがボールを取ったあとの一つ目のパスから精度を高め、得点を狙いたい」
もう一つは、メンタル面のもろさだ。
「乗らせてしまうと手がつけられないけど、相手のやりたいことにストップをかけられれば、少しずつ焦れてくるというイメージはある」
粘り強く守って相手を焦れさせ、後半に入ってスキを突く――。それはまさに、指揮官が今大会で思い描く“耐えて勝つ”のシナリオどおり。ブラジル戦で得た教訓をさっそく生かす時が来た。(飯尾 篤史)