人数的な意味で、日に日にチームを取り巻く状況は悪くなっていっている。そう言い切ってしまっても大げさな表現ではない。森本や奈良ら長期離脱者がピッチに戻ってくるにはまだ時間がかかりそうだし、細かな筋肉系のトラブルで戦列を離れる選手が後を絶たない。
しかし、メディカルの環境が向上したことによって復帰までの期間が短縮されている。直近で言うと中村についてはまさにその賜物だ。ただ、それでも下部組織から選手を借りたり、コーチを入れたりしなければ紅白戦ができないという状況が長く続いている。3日は離脱したエウシーニョの替わりに長谷川がトップチームの右SBに入るという驚きの光景も見られた。「けが人が多くて、いまいるメンバーで試行錯誤をしている状態」
小林もこう語る。これらの状況を鑑みれば、チーム状態も底に近いように思える。 しかし、そんな中でも川崎Fは年間勝点首位をキープしている。志向するサッカーの成熟度が増していること、リオ五輪で離脱中の大島以外、大久保や小林らチームの核となる選手が抜けていないことがその理由だが、もう一つ大きな要因として挙げられるのが、“第二集団”の成長だ。
エドゥアルド・ネットや大塚、三好らは出場機会を与えられたナビスコカップで結果を残したことで、レギュラー組に交じるチャンスを練習時から与えられ、ボール回しや判断のスピード感に慣れていった。技巧派集団の川崎Fの中でもトップとサブの間にはプレーの“速さ”に違いがあるため、練習時からトップチームの中でプレーすることが、試合で生きる上での最低条件となる。離脱者が多い現在は、裏を返せば多くの選手がトップの水に慣れるまたとない機会でもあり、その過程がチームの底上げを一層促進していると言えるだろう。(竹中 玲央奈)