目指すは神戸の心臓。厳しいポジション争いに挑む
神戸U-18に所属していたとき、ボランチの前田はポゼッションの旗手だった。ゲームを組み立て、精度の高いパスを通す、まさに中心だ。ところがいま、彼を試合で見た人は違う印象を持つかもしれない。アグレッシブな守備、ハードワーク――。
「ネルシーニョ監督になって“激しさ”を求められる中で、試合に出るためには成長が必要だと感じた」
トップ昇格して4年、技巧派ボランチはいつしか、献身的な守備のアクター(俳優)としての個性が目立つようになった。
ただ、いま前田は新たな心境を自覚している。「監督の求めることをするのも大事だし、ボールを奪い切るところまで行きたい。でも、自分のやりたいことも表現したいと思っている」。やりたいこととは「自分がゲームを作ること」。“神戸の心臓”になることを目標に掲げる背番号32が、経験値を高める中で自身の強みを見つめ直したとも言えるのだろう。
2日、前田はおよそ1カ月半の負傷離脱から完全復帰を果たした。「ボランチには新しい選手(ニウトン)が来た。ポジション争いに加わって、早く試合に出て活躍したい」。同世代が挑むリオ五輪のメンバー入りは逃したが、その悔しさから逃げることはない。Jのピッチという表舞台で、未完のアクターは“飢え”を解き放つ。(小野 慶太)
前田 凌佑(まえだ・りょうすけ)1994年4月27日生まれ、22歳。兵庫県出身。172cm/65kg。神戸JY→神戸U-18を経て13年にトップ昇格。昨季はJ1で9試合に出場し、ブレイクの兆しを見せた。J1通算16試合出場。