7月後半の段階では、大熊監督は今節あたりからの柿谷の復帰も視野に入れた発言を繰り返しており、復帰後のプレーポジションを尋ねると、1トップも示唆していた。仕切り直しとなるはずだった今節。そこにエースの姿はなかった。
それでも、前節の京都戦(3△3)で途中から1トップに入って2点を奪った杉本が今節は頭から1トップで起用されると、先制点を奪取。前半は得点場面以外にも杉本を起点として数多くの好機を作った。
後半も積極的に追加点を奪って突き放したい流れだったが、大熊監督に「良い守備から入ろう」と指示を受けて臨んだ後半は受けに回ってしまう。66分にCKから追加点は取ったが、間髪入れずにべサルト・アブドゥラヒミを投入してカウンターを強化するなど、3点、4点と畳み掛ける姿勢が欲しかった。
杉本が負傷交代するアクシデントこそあったものの、後半は攻撃の手を緩めて相手に息を吹き返す余裕を与えてしまった。押し切れないなら守り切る。どこかでハッキリさせるべきだったが、前線と最終ラインの考え方がかい離。その結果、中盤にスペースが生まれ、相手に反撃の糸口を与えてしまった。そこへ足が止まり始め、寄せも甘くなる。1失点目はプレッシャーが緩く、2失点目も簡単にクロスを上げさせた。今節に向けてクロスをはね返す練習は行っていたが、どうやってそこに至る状況を回避するか。プロセスの部分で共通理解が足りなかった。
相手を明らかに上回っていた流れから、まさかの暗転。試合の進め方を示す監督。ピッチ内で表現する選手。両者が合致していない。試合巧者からはほど遠く、毎試合のように相手にスキを与えている。
試合後は、状況説明を求めてサポーターが居残るゴール裏に、チーム統括部の責任者として宮本功部長が対応にあたり、「体制は変えない」と明言。前回ホームで逆転負け(第13節・2●4)した山口、昇格を争う松本との連戦に向け、再び一致団結できるか。“大熊セレッソ”が今季最大の正念場を迎えた。(小田 尚史)