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ミス、準備、マネジメント、経験…。敗因は積み重なったわずかな差
手倉森ジャパンは1勝1分1敗のグループ3位で大会を終えた。ナイジェリアやコロンビアとの間に絶望的な差があったわけでなく、勝てない試合ではなかっただけに「残念」、「もったいない」という思いが消えない。
少しの差が積み重なって大きな差になっていることを理解した上で、今大会に絞って敗退の要因を探ったとき、痛恨だったのは、やはり初戦における守備の崩壊だ。GKも含め、守備陣全員が5失点に絡んだナイジェリア戦。その要因が、オーバーエイジとの連係不足にあったとは言い切れない。連係うんぬんの前に、個人のミスが目立ったからだ。ただし、オーバーエイジとの融合が図られたのはブラジルに入ってからで、ほとんど“ぶっつけ本番”に近い状態。「うまくいくだろうか」との不安を抱え、万全の心理状態で初戦を迎えられなかったのは確かだ。
加えて、選手をあの手、この手で巧みに“その気”にさせてきた指揮官が、初戦に向けたマネジメントに関しては失敗した。手倉森誠監督は今大会、“耐えて勝つ”をテーマに掲げてきた。粘り強く守り、スキを突いて仕留める――。これが“対世界”におけるゲームプランだったが、“耐えて”を意識し過ぎるあまり、もともと大事にしていた“柔軟性”が薄れ、「自陣で待つだけの守備になってしまった」(遠藤航)。その結果、トップギアでしかけてきたナイジェリアの攻撃を真っ向から受けてしまったのだ。
開始10分で2失点。二度とも追い付いたものの、守備陣は平常心ではいられなかった。「オーバーエイジとして責任を感じた」と塩谷司が話せば、「自分のミスもあって失点を重ね、引きずってしまった」と室屋成も言う。
もともと抱えていた連係への不安、開始早々のゲームプラン崩壊、オーバーエイジの責任感、世界大会での経験不足…。こうした要素が絡み合い、守備崩壊に歯止めが利かなくなってしまった。
もっとも、コロンビア戦では反撃に出ようとした矢先のオウンゴールにもくじけず、2点のビハインドを追い付いた。前半から勝負をしかけたスウェーデン戦では焦れずに後半にギアを上げて決勝点をもぎ取った。「大会中にも成長してくれた」という指揮官の言葉は、うなずけるものだった。
だからこそ初戦がもったいなかった。しかし、本来ならU-20W杯で味わっておくべきこと――世界大会のプレッシャー、世界大会でミスをした際のリカバリー、アフリカ勢の能力の高さ――を、あの試合で初めて経験したがゆえでの失点でもあった。ナイジェリア戦での敗戦は、このチームだけの問題で片付けるわけにはいかない。(飯尾 篤史)