いまの横浜FMの生命線は両ウイングの“突破力と推進力”である。具体的に言えば、齋藤とマルティノスの出来がチームの浮沈のカギを握っている。リーグ屈指の打開能力を持つ彼らが眩い輝きを放てば、トリコロールはおのずと勝利へと近付くのだ。
裏を返せば彼らの出来次第のチームでしかない。理由や原因はさまざまだが、両ウイングが存在感を出せない試合ではチャンスを作れない。決定力を問う以前に、たちまち決定機不足に陥ってしまう。
良いところなく敗れたFC東京戦はそんな試合だった。エリク・モンバエルツ監督のコメントは、良くも悪くもチームの実状を的確に表している。
「各選手が能力を発揮できていなかった。止まってのプレーがあまりにも多過ぎた。いずれにせよ、今日はサイドのプレーヤーたちが自分の力を出し切れなかったところが問題だったと思う」
サイドを突破し切れなくても、ある程度押し込めばセットプレーを獲得できる。そんなときに中村がいれば相手にとって脅威だが、背番号10は復帰のメドが立っていない。FC東京戦でも7本のCKがあったが、シュートすら打てなかった。
齋藤は疲労が蓄積しており、マルティノスは累積警告で次節出場停止となった。遠藤や前田直輝といった類似タイプの選手に出番が回ってくることが予想されるが、個人技頼みに変わりはない。個の力を発揮して結果を出した選手のみ、次のゲームでチャンスをもらえるマネジメントも変わらないだろう。
チームとして課題をさらけ出した上での2ndステージ初黒星となったが、中澤は「(初黒星かどうかは)関係ない。それまでずっと勝っていたわけではないし、引き分けも多かった」と語る。これまで4つの勝利と4つの引き分けで先延ばしにしてきたが、この日の敗戦によってとうとう隠し切れなくなった。2ndステージ無敗という事実がなくなった途端、さまざまな可能性が消えようとしている。今季のタイトル獲得の可能性は、もはや風前の灯火である。(藤井 雅彦)