Photos: Atsushi Tokumaru
タスクを無事完遂。水戸が「レジェンドたち」に勝ち切る
試合後、選手たちと喜びを分かち合ったあと、サポーターはこう書かれた横断幕を掲げた。「また会おう! 水戸のレジェンドたち」。すると、その言葉に導かれるように、東京国際大の選手とスタッフが水戸サポーターの前に歩み寄り、挨拶を行った。 東京国際大の指揮を執るのは03年から5年間水戸の監督を務めた前田秀樹氏だが、それ以外にも元強化部長の鬼塚忠久氏がスカウティングを務め、さらには前田監督の下、選手として活躍した岩舘侑哉氏、大和田真史氏、鈴木和裕氏がコーチとして名を連ねている。同大学には、かつて水戸に在籍した面々がそろっているのだ。ただ、彼らが築いたのは“一時代”という甘いものではない。当時は毎年のように経営難に陥り、クラブが消滅してもおかしくない状態が続いていた。そうした困難の中、地域に密着した市民クラブの礎を築くために尽力した面々なのである。“あのとき”がなければ、“いま”はない。その感謝の意をサポーターは「レジェンド」という言葉を使って表現したのだ。前田監督と9年ぶりの再会となった一戦を、水戸に関わる多くの人が特別な思いで迎えることとなった。
試合は86分に右CKを山村が頭で押し込み、水戸が1-0で勝利。「水戸で監督していたときのように東京国際大はすごく前からアグレッシブに来るし、ハードワークしてくる。苦しめられた」と、まるで9年前の水戸と対戦しているようだったと前田監督の下でプレー経験を持つGK本間は振り返る。しかし、攻めあぐねながらも焦れることなく勝ち切ることができた。水戸は2回戦進出とともに、この試合で課された「レジェンドたち」に9年間の成長の証を示すというタスクを無事完遂してみせた。(佐藤 拓也)