Photos:©奈良クラブ
■柏レイソル
気の緩みは皆無。高いテンションで迎え撃つ
2ndステージ優勝へ向けての大一番だったリーグ戦前節・川崎F戦(5◯2)を今季のベストゲームと言っても過言ではない内容で制し、優勝への望みをつないだ柏。このままリーグ戦を駆け抜けたい気持ちもあるが、今季の最大の目標である「ACL出場権獲得」に向けて、まずはこの勢いを天皇杯にぶつける。
まだ2回戦ということもあり、“格下”と呼ばれるJFL所属の奈良クラブが相手だが、チームに油断や気の緩みはまったくない。8月31日には試合映像を見て分析もしたようで、「監督からも『天皇杯だから』とか、『相手のカテゴリーが違うから』とかという考え方はしないでほしい」という話があったと鎌田は語る。
メンバーを見てもそれは明らかで、川崎F戦で負傷したディエゴ・オリヴェイラなど、けがやコンディションを考慮して、直近のリーグ戦から何人かを入れ替えることは考えられるが、基本的にはベストメンバーで奈良を迎え撃つ可能性が高い。けがで戦列を離れていた大谷も「(ひざの状態は)日に日に良くはなっている。自分としては(練習に)合流できているので、試合に絡んでいけたら」と出場に意欲を燃やしている。
それでも「JFLのチームと戦う難しさはある」と武富が口にしたように、ジャイアントキリングを起こそうと死にもの狂いで向かってくるチームとの対戦には常に困難がつきまとう。鬼気迫る相手の気迫をもろに受けるのではなく、逆にそれをはね返す強い気持ちを持って、リーグ戦と同様の高いテンションで試合に臨むことが大事になるだろう。
優勝すれば無条件でACLの出場権を獲得できるとあって、どの選手からも天皇杯へのモチベーションの高さは十分に伝わってくる。だからこそ、どんな大会でも難しいと言われる初戦を突破し、来季、“柏から世界へ”羽ばたくための第一歩を力強く踏み出したい。(須賀 大輔)
■奈良クラブ
泥臭く、勇敢な一体感の輝きを解き放つ
一昨季、2回戦で仙台を撃破し(2◯1)、ジャイアントキリングを成し遂げた奈良クラブ。柏に挑む一戦を前に、選手の士気は否が上にも高まっている。「柏ディフェンスの脅威になりたい」(小笠祐史)、「相手がイヤがることをやれれば勝機はある」(向慎一)、「ガチンコ勝負でどれだけ通用するか」(MF茂平)。
奈良は現在JFL・2ndステージで9位。J3昇格を狙っている中で、この順位は到底満足のいくものではない。それだけに、この柏戦は残りのリーグ戦での反攻へのきっかけにもしたい一戦となる。中村敦監督は「(日立台の)スタジアムの雰囲気に呑まれず、どれだけ平常心を持ってプレーできるか。泥臭く、最後まで粘って戦って勝ちたい」と意気込みを語る。
柏から挙げる勝利は、ただの勝利ではない。8月31日、午前8時30分に始まった練習は、およそ1時間半で終了。選手たちは帰り支度をするが、家路を急ぐ様子はない。“アマチュア”である奈良の選手たちは、サッカーをしながらさまざまな職業に就いている。主将の林佳祐の場合は、障がい者の就労支援を行う会社が職場だ。「障がい者の方たちが試合を見に来てくれて、『楽しかった』、『良い試合だった』と言ってくれる。プロとは違う充実感がある」。かつては神戸に在籍。新たなステージで、サッカーを磨き、人との絆をダイレクトに感じる毎日を送る。
それは、奈良の選手たち誰もが抱くメンタリティーだ。林は重ねて言う。「サッカー中心にやらせてもらって、会社の人たちには感謝している」。地域とともに歩む奈良は、応援する人の背中を押す。同時に激励を成長の糧とする。サッカー選手としてのプライド、奈良と関わる人たちへの感謝を込めて。まばゆい日立台のイエローに決して負けることのない、泥臭く、勇敢な一体感の輝きを奈良は解き放つ。(小野 慶太)