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勇気を持って自分たちのスタイルを貫くべき
W杯アジア最終予選の初戦・UAE戦(1○2)をホームで落としたことは確かに痛手だ。ただ、本田圭佑が「終わってみれば、たかだか1敗でしょう」と語るように、残り9試合で巻き返すチャンスは十分にある。大事なのはチームが現状の問題点をどう考え、改善していけるかということだ。
UAE戦に向けては限られた時間の中で戦術練習を詰め込んだようだが、試合では対戦相手をリスペクトした戦いになり過ぎていた。確かにO.アブドゥラフマンをはじめアタッカーは危険で、カウンターも鋭い。彼らのマークはもちろん、中盤でボールを失えば大きなピンチに直結する。ただ、そうしたことを警戒し過ぎて、自分たちが本来やろうとしているスタンダードを見失ってしまえば本末転倒だ。“ザックジャパン”がブラジルW杯でグループリーグ敗退を喫したときは“自分たちのサッカー”に固執したことが敗因の一つと言われたが、相手の対策に意識が行き過ぎると、自分たちのスタンダードまでも失う。試合をとおしてプレーのスピードが上がらなかった理由について指揮官はコンディションを挙げたが、戦術的にもUAEを警戒するあまり、組み立ての段階から慎重になり、展開が小さくなっていた。つまり相手の守備を揺さぶることができなかった。終盤は攻撃的なカードを切ってリスクチャレンジを強めたが、最後まで速いつなぎと連動性を生かした攻撃ができなかった。
タイは侮るべき相手ではないし、10番のFWティーラシンを筆頭に危険な選手もいる。しかも、アウェイの環境で戦う難しさもあるが、初戦よりコンディションも共通理解も高まっていることは間違いなく、本来のスタンダードを思い起こすチャンスだ。相手の特徴は頭に入れておくべきだし、試合展開に応じた状況判断は重要だが、勝ち点3を取るために、自分たちがやるべきスタイルを、勇気を持って発揮した先にこそ光明があるのではないか。(河治 良幸)