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想定以上のコンディションの悪さ
海外組にとってはシーズン開幕直後のコンディションが上がり切っていない時期に長距離移動を強いられる厳しい日程。難しさは誰しもが分かっていた。
だが、海外組の動きの悪さは想像以上だった。ベンチで見ていたヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっても、ピッチ上の選手たちにとっても驚きだったのではないか。皮肉にも、唯一イキイキと動いていたのは所属のミランで出場機会を奪われている本田圭佑だけだった。
立ち上がりこそ速いテンポでしかけてFKから先制。試合の流れをしっかり作ったと思われた日本だが、その後、畳みかけて追加点を狙うのか、ゲームを落ち着かせるのかが中途半端になってしまった。
いつものように速い攻撃をしかけようとしたのだが、コンディション不良のせいでスピードが上がらなかった。あれほど海外組のコンディションが悪いのなら、パスを回してゲームを落ち着かせることを選択すべきだった。
その結果、中途半端に攻めてボールを奪われ、カウンターからの守備に追われる場面を作ってしまう。「選手が倒れれば笛」という無能な審判の判定に振り回されたのは事実だが、そういう場面を作らせてしまったのは自らの責任だ。
二つの代表の必要性
海外組の増加は長期的に見れば日本サッカーのレベル向上につながるが、そのぶん、代表強化は難しくなる。代表の大半が試合のたびに時差7〜8時間の長距離移動を強いられるという状況は、豪州以外のどの国もあまり経験がないはずだ(欧州と南米、欧州とアフリカは距離は遠いが、南北移動なので時差は小さい)。
将来は、こういう日程の試合のために国内組主体のチームを用意しておくべきだ。日程に余裕がある試合や欧州から距離が近い中東での試合には海外組を呼び、日程がきつければ国内組で戦えばいい。国内組だけでW杯本大会を戦うのは不可能だが、UAE程度の相手なら国内組だけでも勝てるチームは作れる。
さて、中4日でタイ戦だ。タイも組織的な守備からカウンターを繰り出すやっかいな相手だ。日本としてはコンディションの回復が最大の課題だが、そう急に改善できるとも思えない。それなら、コンディションが悪いなりの現実的な戦いをチョイスすべきだろう。攻め急ぐばかりでなく、回すところは回し、しかけるところはしかける。そんなメリハリのある試合だ。
日本選手はそういう試合の駆け引きが下手だが、海外の一流クラブでプレーしているベテランがそろっているのだ。それくらいできないはずはない。(後藤 健生)