Photo: Norio Rokukawa
そろっていなかった最終ライン
UAE戦の最大の敗因と言えば、やはりPKを与えたことだが、あえて違う場面を指摘したい。直接の敗因ではない。しかし日本が抱えている弱点を露呈したシーンである。
41分、UAEのCBがロングフィードを蹴る。日本のディフェンスラインの裏へ落ちたボールに追い付いたアリ・マブフートがシュート、GK西川周作がセーブした。この場面、アジア杯でのUAE戦の失点シーンと非常によく似ていたので記憶されている方もいるだろう。
ボールが蹴り出された時点で、日本のディフェンスラインがそろっていない。森重真人、吉田麻也、酒井宏樹はそろっているのだが、酒井高徳だけは裏へ走るオマール・アブドゥルラフマンを警戒して下がっていた。ボールは酒井高とO.アブドゥルラフマンを越えて背後に落下。そこへいち早く到達したのが中央から斜めに走ったマブフートだった。酒井高がラインをそろえていればマブフートはギリギリでオフサイドだった。では、酒井高のポジションミスなのか?
この場面でロングパスを蹴った選手にはプレッシャーが掛かっていない。つまり、受け手とタイミングを合わせた精度の高いパスが来る可能性が高い。だから危険を感じて下がった酒井高の対応は間違っていない。原則的にはラインを後退させなかった3人のほうが間違っている。下げていればマブフートに対応できた。
ただ、蹴るのは明らかだったのでオフサイドで仕留める判断もアリだ。その場合のリスクヘッジとして、酒井高の個人的な判断で下がる対処も同様にアリ。問題はそれで決定機を作られてしまったことにある。日本のDFは個で抑える力が足りないのだ。
弱点は相手に見抜かれている
「ずっと言ってきたことだが、デュエルで勝てなかった」(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督)
デュエルで負けてFKとPKを与えた日本。55分には吉田がUAEのハリルに1対1で振り切られている。デュエルに勝てればいい。だが、もうこの期に及んでそれを言っても解決にならない。日本はデュエルに負けることを考慮して、なるべく個の戦いに巻き込まれないようにしなければならない。
ところが、その準備ができていないのは今回指摘した場面でも明らかだ。ラフに蹴っても個の勝負に持ち込めばチャンスになる。それを対戦相手に見抜かれていると思ったほうがいい。
タイ戦までにラインコントロールを仕上げるのは無理だろう。当面はこのまま、相手より点を取って勝つしかない。(西部 謙司)