■アルビレックス新潟
「10か4なら、10にしなければ」(吉田監督)
「10か4なら、10にしなければいけない」(吉田監督)。名古屋とは、降格ラインを挟んで勝ち点7差。勝てば『10』差と突き放し、残留への大きなステップアップとなる。この重要な一戦に向け、今週はすべてのトレーニングが非公開。通常は試合2日前と、前日の一部のみ非公開としていたが、1週間フルで非公開になったのは吉田体制になって初めてのこと。その意図について指揮官は「より集中して、自分たちのやることを明確にするため」と語った。
3日の天皇杯2回戦・関西学院大戦(5○3)は、3-2で試合を決着できたはずが、ボールホルダーに誰も寄せに行かないルーズな守備から同点に追い付かれ、延長戦に持ち込まれた。この大一番でそうした甘さは許されない。戦術的なことは、この7カ月間の積み重ねで身に付いている中、選手たちに強く求めるのは「自分からプレーしていくという精神的なところ。戦闘力を高めてほしい」(吉田監督)。練習後の選手の表情を見ると、トレーニング内容もハードなものとなっているようだ。成岡は名古屋戦を前に、「勝つことだけを考えたい。対峙している人に勝つ。セカンドボールを奪い取る。そういう戦いになると思う。良いサッカーが見せられるか分からないが、勝負はそういうところに転がっている」と集中を高める。
攻撃の旗手は、関学大戦で4ゴールと爆発したラファエル・シルバだ。ゴール前での落ち着きが増し、「チャンスは少なくても、それを生かすのはFWとして当たり前」と自信に満ちている。厳しい守備と抜け目ない攻撃。戦闘力を高めて勝利を奪いに行く。(野本 桂子)
■名古屋グランパス
大一番。この一戦にすべてを懸ける名古屋
J1残留を懸けた“決戦”だ。残留圏との年間勝ち点差は、残り7試合で『7』。18戦未勝利で年間勝点16位に沈む名古屋にとって、14位・新潟との直接対決は「今年で一番大事な試合」(磯村)となった。
「自分たちが見ているのは、上の2チームのどちらかを抜くことだけ。そのチャンスを逃さないようにしないといけない」
そう小川も決意を示すように、名古屋はこの一戦に懸けてきた。リーグ中断期間の8月31日からは豊田市内での特別キャンプを敢行。監督交代から時間がない中で、新戦術の浸透と結束力の醸成を急いできた。直後の天皇杯2回戦ではJ3の長野に0-1で敗れ初戦敗退となっただけに、今週にはそこで足りなかった裏抜けの意識を強めるなど、ステップ・バイ・ステップでポゼッションサッカーの成熟を図っている。
奇跡に向けた戦力も整った。今週復帰のシモビッチに加え、いよいよ闘莉王が主力組に合流。電撃復帰が決まったそのときから、彼は「新潟戦が自分の一発目。運が悪いのか分からないが、それも神様に与えられた試練」と語り、この試合に照準を合わせてきた。
「35年間、ラクなことは一個もなかった。初めて来日したときからいろいろな壁にぶつかって、それを一つひとつ乗り越えて成長できたし、また新しい壁ができたなとしか思っていない。これを乗り越えれば、優勝争いができるような新しいグランパスにできる」
舞台のデンカSは過去12戦1勝という鬼門の地だが、これも神様が与えた試練なのだろう。クラブ史上最大の危機は、乗り越えるための運命であるはずだ。(村本 裕太)