Photo: Norio Rokukawa
本当の問題は予選突破のその先
UAE戦でのよもやの敗戦。その直接的な敗因は選手のコンディション。欧州クラブに所属する選手たちが開幕直後で、まだコンディションが上がり切っていない時期に長距離移動を強いられたのが原因だった。代表チームにおける海外組の比率はますます上がり、UAE戦、タイ戦では先発11人のうち実に8人が海外組だった。海外で活躍する選手が増えることは長期的には日本サッカー強化のために望ましいことだが、代表チームの強化は難しくなる。今後も同様の状況は予想されるので、国内組の選手でバックアップをそろえておく必要がある。
UAE戦では先制したあとの時間帯に、コンディションが悪いにもかかわらず中途半端に攻めに出てボールを奪われ、カウンターを浴びてFKとPKを与えて失点した。『ボールを奪って速く攻める』がメインコンセプトなのは分かるが、攻めのスピードが上がらないときにはボールを回して試合をコントロールして遅攻に切り替えるなどプランB、プランCも用意しておくべきだ。
チームの新陳代謝が遅れていることも大問題。本田圭佑、香川真司、長谷部誠、長友佑都といった主力の顔ぶれは6、7年も変わっていない。コンディションの悪い選手を休ませることができるように、各ポジションに複数の選択肢をそろえてチーム内競争を起こすのが理想だが、現状はほど遠い。UAE戦では新戦力として大島僚太が起用されたが、緊張度の高いW杯アジア最終予選の初戦でデビューさせるのはギャンブルに等しい。2次予選で積極的に若手をテストしなかったことのツケが回ってきたようだ。
このように、代表強化については多くの問題が指摘できる。
ただ、アジアの中で欧州のトップリーグでこれだけ多くの選手が活躍している国はほかにない。選手の能力や経験値等を考えれば、予選突破は難しいことではない。初戦でつまずいたものの2戦目では守備の意識が高まり、確実な戦い方で勝ち点3を獲得した。2-0というスコアも順当なものだ。チーム作りが遅れていても予選突破は当然。しかし、本大会で戦えるチームを作れるかはまったくの未知数というのが日本の現状。これでは代表戦での盛り上がりは期待できない。本大会で強豪と戦えるチームを作るには選手の育成(とくにDFやGKの強化)、代表のスケジューリングなど課題は多い。問題は予選突破の先のことである。(後藤 健生)