第17節でのこと。長崎へ移籍後、初の古巣戦をホームで迎えた永井は、1点ビハインドで敗色濃厚な後半ロスタイム、鮮やかな同点ゴールを決めた。直後に失点したことで、勝ち点獲得にはつながらなかったが、大きな存在感を示した。
試合後も、敗戦で落ち込む様子を見せることなく、地元メディアからの質問に堂々と答えていたが、その振る舞いはチームの顔と呼ぶにふさわしいものだった。「何で相手に山下くんやマルくん(丸橋)がいるのか…。夢の中で戦っているような感覚だった」。そう形容した前回の一戦を経て、今節の舞台はキンチョウスタジアム。迎え撃つ山下は、「(永井は)気持ちを力に変えることができる選手。アウェイで対戦したときも、少ないチャンスをしっかり決めてきた。難しいシュートだったと思うけど、決めてきたあたり、得点感覚は上がっている」と警戒感を示すと、永井がC大阪に在籍当時、紅白戦で対峙したときの様子も振り返り、「いつか化けるだろう」という思いも抱いていたことを明かした。
遡ること2年前。J1残留を果たすべく、その年の3人目の指揮官として監督に就任した大熊裕司氏(現・C大阪U-23監督)は、前線の軸に永井と杉本を指名。当時、フォルランやカカウを差し置いて彼らを先発で起用した理由は、コンディション面や、自身が求める戦術を遂行する上で優先順位が高かったこと以外に、「苦境を乗り越えることで今後のC大阪を引っ張る存在になってほしい」という願いも込められていた。そんな大熊裕司U-23監督にとって、現在の永井の活躍はどう映っているのか。「頑張っているよね。でも、今季見せている活躍は当然というか、十分やれると思っていた。ただ、次の試合は活躍しないでほしい(笑)」。今季、チームをけん引する存在として独り立ちを果たした永井と杉本の“新旧桜の9番対決”が杉本の負傷により実現しないことは残念だ。しかし、敵として挑んでくる永井と、迎え撃つ桜のDF陣とのマッチアップが、この試合をより一層ヒートアップさせることは間違いない。(小田 尚史)