試合後、反町監督は「自分たちの原点に返ることができた」と勝因を語った。天皇杯の2回戦で敗退するなど、どこか漂っていた緩い空気。そのような雰囲気を引きずっていては京都には容易に蹂躙されるだろう。そこで指揮官はオフ明けすぐに厳しく活を入れ、メンタルコントロールを実施。ピリッとした心地良い緊張感の中で今節を迎えることができた。
お互いに負傷者や出場停止者などで選手を欠く中、松本は網膜剥離から復帰した田中をあえて先発で起用。練習試合を行っておらず、チーム練習にも復帰したばかり。自身も言うように「ぶっつけ本番」での出場となったが、その動きに迷いはなかった。サッカーができる喜びを前面に押し出す、躍動感あるプレーを披露。開始直後の先制点も、田中が得たFKのチャンスを生かしたもの。その後は追加点が遠く、後半はやや苦しい展開を強いられたが、各選手が闘争心みなぎるプレーを随所に発揮して得点を許さない。そして、87分には工藤の追加点でダメ押しに成功し、京都との上位対決を制した。
この日の最大のトピックは、やはり田中の公式戦復帰だろう。右目網膜剥離という現役続行も危ぶまれる負傷から堂々の復活。これだけでも無条件で敬服するほかないが、プレー面でもチームを力強くけん引。ここ最近の試合で松本に足りなかったものを埋める作業を難なくこなしてみせた。(多岐 太宿)