柱谷監督が「狙いどおりの試合運びはできた」と振り返るように、北九州は敗れたものの、C大阪相手に“粘り強い守備とカウンターからの得点”というビジョンを忠実にピッチ上で表現した。
特にC大阪が圧倒的にボールを支配した前半の30分間はコンパクトな陣形を保持。その上で各選手が見せた的確なポジショニングと丁寧なスライドの連続は、勝ち点獲得への強い意気込みが伝わってくるものだった。それでも敗れてしまったのは、ありきたりだが、チャンスをモノにできなかったからだ。
C大阪は決定力の差を見せ、粘る北九州を突き放すことに成功したが、そこにはもう一つの差があった。それは勝利に対する意欲の差。しかも、個人が見せたとてつもなく強い意志が生んだ“差”だった。
79分に山口のパスを受けて巧みなターンとシュートで決勝ゴールを挙げた杉本は、3日の天皇杯2回戦・京都戦(2◯1)で負った肋骨骨折が癒えておらずドクターストップがかかっていた。だが、勝利に貢献したいという強い意志を持ってドクターと大熊監督を1時間掛けて説得。大熊監督も「気持ちを買った」とベンチ入りを決断した。そんな燃えるような気迫をゴール前での冷静なプレーに変換し、杉本はチームを救う決勝ゴールを奪ってみせた。C大阪は杉本が有していたこの特別な“差”で、2位・松本との勝ち点差を『1』に縮める勝利を手にした。(島田 徹)