■鹿島アントラーズ
選手たちも岩政、豊川との対戦を楽しみに
すべてのタイトルを獲る。
それは、いつ、いかなるときでも鹿島に課された使命だ。常識的には、09年以来遠ざかっているリーグタイトルに、一番の比重を置くことが考えられるが、すべてのタイトルを本気で狙いにいくのが、このクラブの伝統的なスタイル。今季はすでに、ルヴァンカップとスルガ銀行チャンピオンシップという二つのタイトルを逃しているだけに、クラブ内外にタイトルへの本気度を示すためにもこの岡山戦は重要な一戦となる。
それを裏付けるように、いま組むことができるベストメンバーでの布陣となりそうだ。中3日の3連戦ではあるが、17日のJ1・2nd第12節・磐田戦(3○0)と、ほぼ変わらないメンバーが紅白戦の主力組に入った。磐田戦での3-0の勝利を手土産に、岡山から勝利を勝ち取ることで、リーグ戦に向けさらにはずみをつけたい。
とはいえ、チームのメンバー構成はギリギリだ。CBにファン・ソッコが戻ってきたが、2nd第11節・柏戦(0●2)で腰を痛めた昌子が別メニュー調整。天皇杯での出場は難しそうだ。チーム状態が上向かない中、最終ラインで奮闘していた昌子の存在は大きかった。代わりに出場する植田はリオ五輪後初先発。存在感を見せたいところだ。
見逃せないのは元チームメートの岩政、豊川との激突だ。二人がメンバーに入るかどうかは不透明ながら、対戦が決まったときから、その話題になると自然に目尻が下がるほど、鹿島の選手たちは楽しみにしてきた。後輩から一目置かれていた岩政に、誰からも可愛がられた豊川。対戦相手となる彼らがどんなプレーを見せるのか、試合を見る立場からも興味がそそられる。
少し心配なのがカシマスタジアムの芝の状態。17日の試合でも滑る場面が見られただけに、今回も選手を悩ませることだろう。(田中 滋)
■ファジアーノ岡山
リーグ戦とは違うメンバーになることが濃厚
岡山にとって天皇杯の捉え方は難しい。
目標をJ1昇格に定めて今季に臨んでいる岡山は、J2リーグ戦が残り10試合となったところで5位につけており、J1昇格という目標を現実のものとして視界に捉えている。天皇杯の勝ち上がりとリーグ戦で勝ち点を積み上げていくことのどちらかの選択を迫られれば、リーグ戦で勝ち点の積み上げていくことを選択するのにためらいはない。
しかし、22日の鹿島戦のあとには中2日でJ2第33節・長崎戦が控えており、「勢いとかを含めて、この勝負に勝てるといろいろなことが変わってくる。勝ちにいきたい」と長澤監督が語るように“勢い”も大事にしたい。ただ、「多少、長崎戦のことも考慮しながらというのが正直なところ」というのが本音だ。
古巣戦となり注目が集まる岩政の出場も流動的で、19日の練習後に岩政は「僕からこの時期に(出場させてほしいと)希望を伝えることはない」と指揮官の判断に委ねるつもりだ。長澤監督は「フレッシュなメンバーを使わないと勝てないと思っている。まだ日にちがあるのでしっかりと見極めていきたい」と話した。天皇杯は1回戦と2回戦をリーグ戦と違うメンバーで構成し、試合に飢えている選手たちのハングリーさ、フレッシュさを重視して勝ち上がってきた経緯もあるだけに、鹿島戦はリーグ戦と違ったメンバー構成になることが濃厚だ。
ただ、誰が出場してもモチベーションを欠くようなことはない。J1チームとの対戦を心待ちにしている選手は多く、矢島は「個人的にはJ1とやりたいと思っていたし、そういう思いで2回戦の札幌(2○1)とも戦っていたので楽しみ」と勇んでおり、ルーキーの藤本は「僕にとってはすごくチャンスの大会。そこで結果を出せるかどうかでリーグ戦の出場時間も変わってくる」と意気込む。思い切り鹿島にぶつかっていく岡山の姿が見られることは間違いない。(寺田 弘幸)