21本のシュートを放った広島だが、得点は遠く
後半ロスタイムに中島の右足が捉えたボールがゴールネットに突き刺さる。我慢強く戦い抜いたチームメートの頑張りに報いた背番号39の一撃は、ホームチームを奈落に落とした。
試合は広島のペースで進んでいった。立ち上がりのFC東京の勢いをはね返すと、両サイドの突破を起点にしてゴールへ向かっていく得意の展開に持ち込んだ。しかし、いくらサイドでイニシアチブを握っても、中央を固める相手の守備を打ち破ることができなければゴールは奪えない。頼みのピーター・ウタカが森重と丸山の代表CBコンビに抑えられて沈黙すると、前半に広島は12本のシュートを打ちながらもゴールネットを揺らすことはできなかった。
後半も試合の展開は変わらない。60分を過ぎると両ベンチが動いて徐々にオープンな展開になっていく中、ゴールへ向かったのは地力に勝る広島だった。しかし、FC東京の守備は堅かった。ウタカはパワーで押すだけでなく際どいラストパスを狙うアイディアを見せた。青山は果敢にミドルシュートを放った。ミキッチと柏は常にギアをトップに入れてしかけたが、森重と丸山の二人が破れない。90分には途中出場した佐藤の左足ボレーシュートがゴールを襲ったが、GK秋元の好守に阻まれた。
「みんなで耐えるところを耐えたことが(中島)翔哉のゴールにつながった」(秋元)。21本のシュートに耐えて迎えた最後に待っていた劇的な結末をFC東京の守護神が感慨深くかみ締めた一方、中島のシュート一発に沈んだ広島のGK林は「強いチームは得点を取れなくても失点をゼロで終えて勝ち点1を拾っていく」と、不甲斐なさを露わにした。(寺田 弘幸)