Photo: Norio Rokukawa
■POINT JAPAN
適材適所。選手の役割分担や配置を含めて、あらためてこの正否が問われる。引いて守備を固めてくることが予想されるイラク相手に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督には柔軟な対応や引き出しが準備されているのか。自ら苦戦に導かないためにも、持てる能力をスムーズに出す采配ができるかどうかに注目だ。
先月のUAE戦とタイ戦前の非公開練習では、かなり相手の戦い方に合わせたトレーニングを繰り返したという。たとえばUAE戦直前には、柏木陽介を相手の10番のパサーであるオマール・アブドゥルラフマンに見立てて、何度も守備のトレーニングを行っていた。いまや長く、回数も多いことで知られるミーティングも、毎回守備の部分の指示が多い。
一方、攻撃に関しては守備ほど細かい約束事やルールはない。よく言えば自由、悪く言えばアイディア不足である。UAE戦前の紅白戦では、ボールが前に入ると、指揮官は左右両サイドの本田圭佑と清武弘嗣にただひたすら裏のスペースに走り込むプレーを要求し続けたという。実際の試合でも、清武は再三縦に抜けようとする動きを繰り返していたが、「彼にはFWとしてのプレーを望んだが、(ゴールに)背中を向けてしまった」と監督は途中交代の理由を述べていた。
本田や清武のプレーの幅を広げることが目的ならこのアプローチは正しいが、代表チームとはそのような場ではない。選手が持つ能力を、最大限発揮する場所である。彼ら二人は本来中央で輝く選手。その両者をあえて両サイドに、しかも利き足とは逆サイドに置いているのならば、要求すべきプレーはより多岐にわたる。結局、選手たちも試合になれば、自分の得意なプレーを織り交ぜていくのだが、指揮官が選手を適材適所に配置する眼力には、やはり疑問が生じるのである。
イラク戦に向けては、清武が指揮官とマンツーマンで、パスを受ける動きからシュートまでの居残りメニューを行っていた。清武が立っていた位置は、彼本来のポジションであるトップ下―。はたして、今回は選手の適性に即した起用が見られるのだろうか。(西川 結城)