スコア推移だけを切り取ったとき、横浜FMにとって理想的な展開だった。試合前の時点で「前半は0-0で折り返してもいい」と話していたのはチームの舵取り役を担うボランチの喜田。失点とアウェイゴールは同義語で、先制を許すと少なくとも2点が必要な苦しい状況に追い込まれる。前半45分を無難にやり過ごし、後半に入ってからスキを突いて先制し、逃げ切る。それが横浜FMの描いていた青写真である。
試合途中まではプランどおりに事が運んだ。0-0で迎えた56分、中町のパスに抜け出した伊藤が見事な先制ゴールを叩き出す。この時点で勝ち上がる資格を得たのは横浜FMで、残り時間の過ごし方が問題だった。「早い時間に点を取っても、ウチには守り切る耐久性がある」と話していたのは右SBの小林だ。ポゼッションで後手に回っても、ゴール前での強さを生かして相手の攻撃をはじき返す。辛抱強く守ることで、得点が必要になったG大阪の焦りを誘いたかった。
しかし、そのプランはもろくも崩れ去る。中町が「リードしたから下がったということはなくて、普通に崩されて失点してしまった。時間帯も悪かった」とうなだれた失点である。思い返せば序盤からゲームの主導権争いで後手に回り、なかなか自分たちのリズムにならなかった。その中で最良の得点経過だったが、失点しても慌てることのないG大阪の連係プレーに屈した。
アウェイでの第1戦は0-0、そしてホームで戦った第2戦が1-1。2試合とも引き分けに終わったが、GK榎本は「ガンバはホーム&アウェイの戦いをしていた。そこに差があった」と完敗を認めた。2試合トータルでメンバー編成を行ったG大阪に対して、横浜FMはいずれの試合も全体練習に参加しているフィールドプレーヤー全員がベンチ入りした。選手をローテーションさせる余裕はなく、現時点での限界だった。
グループステージからこの準決勝まで、チーム全員の力で勝ち上がってきたが、タイトル獲得には力及ばなかった。横浜FMはリーグ戦に続き、ルヴァンカップでも終戦のときを迎えた。(藤井 雅彦)