練習では何事もなかったかのようにプレー
ルヴァンカップ準決勝第1戦(FC東京戦・2●1)の翌日、阿部勇樹はドクターと話をしたあと、練習に参加せずに引き上げた。フィジカルに問題を抱えていることは推測できたが、第1戦では何の問題もなくプレーしていたように見えた。
しかし、決勝の週を迎えた11日、クラブから衝撃の発表があった。肋骨骨折。その負傷を負ったのはJ1・2nd第14節のG大阪戦(4●0)だった。「肋骨のリベンジをしてあげないと、肋骨に悪いから」と冗談まじりで決勝の出場に意欲を見せた。もちろん、やられたことをやり返すという意味ではない。宇賀神は阿部勇樹を蹴った遠藤保仁や槙野を踏み付けた倉田の行為を「僕の中では許される行為ではない」としながらも、「冷静に結果で見せるのが一番だと思う」と話したが、阿部もまったく同じ気持ちだろう。
骨折が判明した翌日、阿部は練習で何事もなかったようにゲームに参加した。ワンタッチで出したパスが浮いてしまい、思わず「あっ」と声を出したことが微笑ましく感じられるほど、精度の高いサイドチェンジや縦パスを連発した。そのミスのあと、すぐに切り替えてダッシュでプレッシャーを掛けに行ったことも、いつもどおりのプレーだった。
これまで阿部は主将として、プレーで、その背中でチームをけん引してきた。「この前のリーグ戦(J1・2nd第14節・G大阪戦)のような、まとまりだったり規律だったり気迫を試合で出せればいい」と話し、「目立とうとしたやつがいたらぶん殴ってやりますよ」と笑った阿部。決勝でも、自身のプレーでそれらを示すだろう。骨折の影響など感じさせることなく、ただひたすらに結果だけを求めて。(菊地 正典)