井手口が見せた闘争心。呉屋が味わった悔しさ
常勝クラブを自認する大阪の雄にとって、銀色のメダルは何の慰めにもならない。ただ、未来ある選手には時に敗北が格好の肥やしになることも、スポーツ界の常である。この決勝の大舞台ではG大阪の未来を担う二人の若者が好対照なパフォーマンスを見せた。
「(井手口)陽介は本当に20歳かなと思うぐらい躍動感のあるプレーを見せてくれた」(長谷川監督)。指揮官がこう絶賛した井手口はニューヒーロー賞に恥じないパフォーマンスを見せピッチで躍動。「守備だけでなく、攻撃にも絡みたい」と宣言したとおり、持ち味のボール奪取を披露し、攻撃につなげていた。リーグ戦で完敗した(J1・2nd第14節・0●4)浦和相手に互角以上の戦いを見せられたのは、井手口の“戦闘能力”があってこそだった。
一方、大卒ルーキーの呉屋は井手口ほど若手と言える年齢(22歳)ではないが、その心意気は自ら志願したPKキッカーの場面に表れていた。
「あのチャンスを決め切れなくて、悔しかったのでその思いを込めて蹴った」(呉屋)。延長後半の終了間際に呉屋らしいシュートを放ちながらもGK西川と森脇の好守に泣いた背番号23。PKも無情に阻まれ、唯一キックミスの味をかみ締めた。
「悔しい思いは選手を成長させる。そういうものがクラブに受け継がれて、またクラブは成長していくと思う」と試合後に振り返ったのは数年前まで「シルバーコレクター」と呼ばれた指揮官だ。
「この悔しさをかみ締めて次につなげたい」(呉屋)。苦い銀色の味がきっと彼らを成長させる。(下薗 昌記)