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[川崎F]風間フロンターレは伝説となれるか/EG FEATURES

2016/10/17 6:00


Photo: Norio Rokukawa
“止める、蹴る、外す”の3つを追求

 川崎Fにとって、一つの時代が終わりを迎える。12日、クラブから風間八宏監督が今季限りで退任することが発表された。指揮を執ったのは5シーズン。これは川崎Fの歴史の中で関塚隆氏に次ぐ長さであり、就任期間だけを見ても、彼がクラブ史の中で重要な人物であったことがうかがえる。ただ、風間監督がチームにもたらしたものは数字では表せない部分だった。
「技術はどこへいっても裏切らない」
 川崎Fの前に指揮を取っていた筑波大でも、プロ選手が集まるこの川崎Fでも、一貫して彼が説いてきたことである。「プロでもうまくなるんだなというのは一番感じた」。こう語るのは中村憲剛だ。攻撃的なサッカーを標榜するチームはこれまでにも多くJリーグには存在したが、得点を奪うためには技術が必要という信念を貫き、徹底的に“止める、蹴る、(相手を)外す”の3つを追求し続けたチームはないだろう。
「もともとウチは攻撃的なサッカーというのを掲げて、ずっとクラブ創設からやってきているが、『何が攻撃的なサッカーなのか?』というのはよく見えない部分もあった。風間監督が来て『これだ!』ということで、アカデミーを含めてそういう、ボールをつないで崩すというスタイルを取り組んでいる。これは監督が残してくれた大きな財産だと思う」。庄子春男強化本部長はこう風間監督への感謝を述べる。徹底的に技術にこだわり、相手にボールを触らせることなくゴールまで直結させるこのスタイルを、“川崎Fの色”とした風間監督の功績は非常に大きい。ただ、これも一朝一夕で身に付くものではなかった。

サポーターと共に乗り越えた我慢の時期

「最初は勝てなかったりとかボールを全然持てなかったりとかもあったが、ここまで、それこそみなさんが評価してくれるサッカーになったことは、クラブというかサポーターも含めて我慢しなければいけない時期を乗り越えたから」(風間監督)。
 チームを応援する者にとっては辛い時期も長かった。しかし、それはある種の“成長痛”であることを風間監督は把握しており、目指すところに到達するには超えなければいけない段階があるということを理解していた。だからこそ、守備から入るというような本末転倒なことはしなかった。あの時期があったからいま、国内でも屈指の魅力ある攻撃を展開するチームとなった。
 とはいえ、チームの色を付けるということももちろんであるが、初タイトル奪取という点も彼に託された重要な課題だ。周囲の厳しい視線を浴びながらも、決して簡単ではない内容と結果という二兎を追わなければいけない。だが、前者を完璧にこなしてくれた以上、最終目標にも期待が懸かるのは当然。残り3カ月で終演となる“風間フロンターレ”がこれを成し遂げれば、間違いなくJリーグ史に残る“伝説”の一つとなる。「あと何試合かの中で一つ、このフロンターレで『すごいなコイツら。こんなことができるのか』というのを見せたい」(風間監督)。その瞬間を目撃したい。(竹中 玲央奈)

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