15,203人の観客が駆け付けたCスタには、たっぷりの期待感が詰まっていた。「負けても可能性がなくなるわけではない」と冷静に今節を捉えていた岩政も、「勝ち点3を取ればムードみたいなのが作れるかもしれない」と語って臨んだ今節。J1昇格へ向けた大きな機運を岡山の街全体に生み出す絶好のチャンスだった。
しかし、「(勝ち点1を)よく取ったという部分と、もう少しという部分、半々な気持ち」と記者会見で長澤監督が語った胸中と同じく、試合後のスタジアムもモヤモヤした空気に覆われた。
「少しプレーが硬かった。もっといろいろなプレーができる」と長澤監督が振り返ったように、岡山は自分たちが持つパワーを爆発させることができずにいる。前半のうちに同点に追い付いて後半勝負に出る理想的な展開に持ち込んだが、その後半にC大阪の半分となるシュート3本では、あまりにも寂しい。
振り返れば、後半唯一の決定機となった60分のCKを岩政が仕留められなかったことが残念でならないが、CKを2本しか得られなかった攻撃全般に目を向けることが先決だ。指令塔の矢島は「こうやって点を取りたいという意識のズレがまだ周りとあるなと思った」とイメージが共有できていないことを語り、豊川は相手を突破できなかった悔しさを募らせると同時に、「(体力的に)キツい展開でもバンバン後ろから出てくるようになるともっとすごいサッカーができると思う」とパワー不足を感じている。
ここ10試合のうち岡山が複数得点を奪った試合は2試合で、攻撃の課題は少なくないという現実があるが、これから選手構成やゲームプランを変えることは愚策。これまでどおり手堅く試合を進めながら、セットプレーを含めて少ないチャンスをモノにしていくほかなく、結局、最後は個人の力量に懸かってくるだろう。岡山がJ1昇格を達成するためには、スタジアムを熱狂の渦に巻き込んでチームを勝利に導くヒーローの出現が必要だ。(寺田 弘幸)