両者ともにテーマは“前”。そのぶつかり合いで相手を上回る圧力を掛けたのは山口のほうだった。
徳島は「前からボールに行く」(長島監督)がチームとしてのスタイル。体力がある前半は持ち味をしっかりと発揮し、12分には先制にも成功した。
山口は直近5試合同様、またしても先制される展開となったが、そこからが違った。攻撃的に、前に人数をかけるのが山口のスタイルだが、徳島が守備でも前から来るチームであるぶん、スペースもできやすかった。山口はそこを有効に使うことができた。
「ショートカウンターで良い形がなかった」と福元は話したが、運動量が落ちた後半、徳島は前から奪いに行っても良い形が作れなかった。相手に脅威を与えられないぶん、山口が前に人をかけてくる流れに歯止めをかけられず、76分に同点弾を許した。
J1昇格プレーオフ圏の6位に入るためには両者とも勝ち点3が必要だっただけに、山口が追い付いて以降はカウンターの応酬となるオープンな展開に。しかし、徳島のカウンターが「単発」(福元)で、前線の3人だけで完結させるような形となった一方、山口は途中出場の中山がペナルティーエリア付近でポストプレーをこなし、タメを作ることでしっかりと人数をかけた。後半ロスタイムの決勝点も中山の落としにボランチの位置から飛び出した望月が挙げたもの。その形は徳島にはない“前”への厚みが生んだ得点だった。(杉山 文宣)