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罠にハマることなく普段どおりの力を発揮
引いて守ってくるであろう相手に対して主導権を握れるのは織り込み済み。その上でポゼッションプレーに終始するのではなく、横の揺さぶりで相手を動かしながら怖い攻撃と正確なフィニッシュを繰り出せるかどうか。その一点に勝敗の分け目はあった。
グループステージで豪州がタジキスタンの守備を破れなかった(0△0)要因は、開始5分のPKのチャンスを逸してしまったことに尽きる。決定機を逃すうちに焦りが募って、また逃すという悪循環にハマってしまうのはサッカーではありがちなことでもある。最初の決定機が訪れるであろう、前半15分までに1点を取れるかどうかがポイントだった。
日本は立ち上がりからエンジン全開。「たとえ相手が引いていても、背後に走り続けてやろうと思っていた」と言う日本の元気印、FW岩崎悠人が攻守のスイッチ役となり、相手ボールをすぐさま回収。波状的な攻めを繰り出す。そして開始8分、流れの中から最初の決定機が訪れた。まずは縦のフィードをFW小川航基がヘッドする極めてシンプルな形のシュートがポストを叩くと、そのこぼれ球を拾ったMF堂安律が迷わずクロスを選択。これに再び小川が頭で合わせ、日本が待望にして決定的な先制点を獲得した。
さらに19分にはカウンターからMF三好康児が独走しての折り返しをファーで待っていた堂安が冷静沈着かつ豪快に左足シュートで突き刺して、2点のリードを奪う。後半に入っても73分に小川がFKを直接決めて3点目を奪うと、88分にはMF坂井大将のスルーパスから岩崎がねじ込むようなゴールを決めて、4-0。世界大会出場権が与えられる4強への進出を大差で勝ち取ってみせた。
10年ぶりの世界切符は少々あっけない形で得られたという見方もできるだろうが、サッカーでありがちな罠にハマることなく、決定力を発揮して打ち勝ったのも確かな事実。心理面での事前の準備を含めて、プレッシャーの掛かる大一番で普段どおりの力を発揮できたこと自体に大きな意味があった。(川端 暁彦)