Photo: Yosuke Koga
原点回帰、FWの勝負強さだけではない。最大の勝因は柔軟な冨樫采配
今季ホームで黒星がなく、昨季からホーム連続不敗記録を『23』まで伸ばしていた首位チームに土をつけたのは「札幌とは立場が正反対」(冨樫監督)で、残留争いに身を置く18位の東京Vだった。
前節は順位の近い山形相手にまったく良いところなく敗れていた(0●1)が、「あの不甲斐ない敗戦から『もう一度原点に立ち返ろう』と、この1週間はサポーターも含めたクラブ全体が良い仕事をした」と冨樫監督はチームの原点回帰を勝因に挙げた。ただし、そうしたある種の精神論だけで首位チームに敵地で勝てるほどこの世界は簡単ではない。勝利を渇望していたのは札幌だって同じことだ。
相手の一瞬のスキを見逃さず、しっかりとシュートを叩き込んだ30分の高木大、60分のドウグラス・ヴィエイラの勝負強さはもちろん称賛に値するが、やはり大きかったのは指揮官の采配だ。
両翼を高い位置に置く札幌の[3-5-2]に対して、東京Vはオーソドックスな[4-4-2]。そのミスマッチから札幌のマセードに手を焼く局面が目立っていたが、そうした状況を見るや冨樫監督は左MF澤井にマンマークでマセードを見張らせ、変則的な5バック気味の布陣にして対応。「あの形にしてからチーム全体でやることがハッキリしたし、個々の役割も明確になってやりやすくなった」と澤井は振り返る。
1点差で迎えた終盤は札幌が191cmのDF増川を前線に上げるパワープレーをしかけてきたが、直ちにウェズレイを投入して対応。危ない場面にも選手が体を投げ出してボールに食らい付き、見事に札幌ドームのスタンドを黙らせてみせた。「選手がよく対応してくれた」と指揮官はチームを称えたが、それを引き出したのは紛れもなく良質なベンチワークだった。(斉藤 宏則)