清水がじわじわと状態を上げる一方、札幌が東京Vに、岡山が金沢に敗北。またC大阪と京都も引き分けに終わり、ここに来て盤石だった感のある上位6チームに異変が起きている。いよいよ昇格戦線が混沌とする中、自動昇格圏の2位を維持する松本も、その流れに抗い切れずにいる。9位の愛媛と引き分けに終わった瞬間、恐らく快勝を期待していただろうアルウィンのスタンドからは不満の声も漏れていた。
しかし、残りわずかとなったJ2に、もはや上位下位の差などほとんど見られない。2年前のJ1昇格を振り返れば、松本は随分スムーズに自動昇格を決めている。磐田をはじめとした昇格候補がそろって自滅で勢いを落とす中、誰からもプレッシャーを掛けられずに2位でゴールテープを切った。ただ今季は違う。各チーム間の実力が拮抗し、もちろん安全牌など一つもない。指揮官が口を酸っぱくして諭すように、勝ち点3を計算できるチームなど存在しないのだ。
その中で、いかにしてラストスパートに臨むべきか。今季も残り5試合となったいま、劇的に個人能力を高めることは難しい。新戦力の獲得も不可能。ならば、自分たちのサッカーに疑いを持つことなく、やり切ることが重要と言えないだろうか。確かに今節ではシュート19本を放ちながらも、得点はPKの1点のみ。もちろんワンチャンスを生かすためにもプレー精度は高いほうが望ましいが、そこに気を取られて縮こまったプレーをするよりは、開き直って大胆なプレーを心掛けたほうがよほど健全だろう。ミスを後悔して立ち尽くすのではなく、すぐに切り替えて次の行動に移る。失敗してもあきらめずにトライし続け、自ら成功を手繰り寄せる―。それこそ松本の流儀だろう。(多岐 太宿)