松下、中坂、増山の若手がリーグ初ゴール。強さを見せ付けた神戸
10月29日、近畿地方に木枯らし1号が吹いた。冬の訪れを告げる風物詩は、ユーラシア大陸から海峡を渡り、山脈を越え、性質を変えながらたどり着く。この日、ノエスタで相まみえた両雄もまた、J1という険しい道を進み、熟成を求めて戦ってきた。過去最高順位を狙う神戸とJ1残留に燃える名古屋。明確な目的地にたどり着くための互いに譲れない一戦だ。
その舞台のボルテージは、岩波の豪脚が一気に引き上げた。得意の右足フィードが最終ラインの背後に出ると、抜け出した高橋峻の元へ。すかさず送ったファーへのクロスは、ゴール前に駆けた松下への最高の御膳立てだ。15分、松下のダイレクトボレーが決まり、神戸が先制に成功した。
この日の神戸にスキは見当たらない。ペドロ・ジュニオールは前線の起点となり、渡邉がスペースを作れば、中坂はそれを謳歌。藤田はビルドアップの舵を取り、速攻と遅攻を織り交ぜながらピッチを支配する。そして37分、今度は中坂だ。横パスを受けて前を向く。渡邉が「俺がディフェンスを引っ張ったときに誰も出てこなかった」と話したように、名古屋が作ったスキを逃さなかった背番号31。ドリブルから右足ミドルシュートをゴール右スミに突き刺した。
システムを変えながら反撃に出る名古屋だが、神戸の守備は強固。逆に69分、途中出場の増山が松下のクロスをボレーで決めた。この日の得点者はすべてリーグ戦初得点。2nd優勝を目指して戦ってきた神戸が、ホーム最終戦で確かな強さを見せ付けた。
三原は話す。「いま神戸の(歴史の)中での最高順位にいる」。この日の勝利で年間勝点は7位に上昇。最終節を残し、神戸は9位に入った11年を超える、過去最大の歓喜に王手をかけた。(小野 慶太)