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[鳥栖]あふれる思い。あふれる涙/特集・それぞれのホーム最終戦

2016/11/2 14:34


 鳥栖で過ごしてきた7年間はキム・ミヌにとって、そして鳥栖に関わるすべての人たちにとってあまりに濃密だった。リーグ戦でのホーム最終戦後に行われた退団セレモニーでのスピーチ。気丈に思いを語り出したキム・ミヌだったがあふれる思いをこらえることができず、涙が流れた。
 7年前、韓国から鳥栖にやってきた幼顔の19歳は26歳となり異国の地で主将を務め、流ちょうな日本語で自分の思いを人に伝え、感情を揺さぶるまでの立派な選手、立派な人間に成長した。7年前、時を同じくして鳥栖にやってきた豊田にとってもキム・ミヌは特別な存在。「耐えられなかった」と話したようにセレモニーに臨むキム・ミヌの姿を見て、豊田も涙を流し、サポーターもまた、涙を流した。練習から常に全力を尽くし、試合でも最後まで走り切る。その姿勢がチームからの尊敬、サポーターからの信頼を生んだ。セレモニーでの光景にキム・ミヌが鳥栖に残した功績の偉大さが表れていた。
 キム・ミヌにとって鳥栖というクラブはかけがえのない存在だ。「離れることなんて想像したことがなかった」と言うほど自分自身を成長させてくれた鳥栖を愛している。しかし、そこに兵役という避けられないルールが立ちはだかった。26歳、これからサッカー選手としてさらに飛躍していく時期に入っていく中で、愛する鳥栖を去らなければならない。その悲しみは察するにあまりある。しかし、キム・ミヌはセレモニーをこう締めくくった。「私はまたいつの日かみなさんの熱い応援を背にサガン鳥栖のユニフォームを着て、ここベアスタのピッチに立てることを夢見ています。夢は叶う!」。
 兵役終了まで最短でも3年の時間を要する。ただ、どんなに時間が経とうが、両者の結び付き、関係が変わることはないだろう。鳥栖とキム・ミヌの物語は一旦、小休止を挟むことになった。3年後、夢の続きが始まることを誰もが待ち望んでいる。(杉山 文宣)

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