今節の勝利で、チーム記録をさらに更新するリーグ戦16試合負けなしとなった松本。残り2試合となったJ2、自動昇格争いからはC大阪が消え、いよいよ上位3チームに絞られることになった。
J1に初めて昇格した2年前もそうだったが、この時期になるとチームへの注目度はいやが応でも増す。ファン、サポーターはもちろん、メディアの姿も多くなる。当然ながら監督、選手からは景気の良い言葉を聞きたいもの。しかし、指揮官はあえて表情を変えることがない。
「われわれとしては、本当はそういう質問を無視したいくらい。良いリズムで準備をしていくだけ」とはやるメディアをピシャリと制し、平常心を強調する。それは選手も同様で、首位の札幌と勝ち点で並んだことを問われた田中は「先を見る余裕はないし、目の前の試合に集中してやりたい」。過緊張に陥らず、あくまでもほどよいプレッシャーの中で戦えるようにと指揮官が腐心する成果が表れている。
精神面のマネジメントが成功しているチームは、戦術面でも手ごたえをつかんでいる。3試合連続の無失点勝利を飾ったことについて、「チーム全員が守備戦術を徹底してできていることに尽きる」と話すのは喜山。
アタッカー陣が精力的にボールを追い、例え外されても全力でプレスバックする。中盤はスペースを埋めるためにピッチを駆け、最終ラインも体を張って侵入を阻止。GKシュミットも数度の好セーブでゴールにカギをかけた。個々のミスは選手全員で助け合い、傷口を大きく広げない。派手なスコアでの大勝はなくとも、黙々と勝ち点を積み重ねられている理由は“チーム一丸”にあるのだ。
目前に迫ったJ1自動昇格。しかし、チームは「まずは次の町田戦」という姿勢を崩さない。浮き足立つことなく、地に足をつけて一歩また一歩――。