■FC東京
完全復調。天皇杯を勝ち抜き、ACLでリベンジを
FC東京はJ1・2ndステージの終盤戦を4連勝で終えた。昨季のリーグ王者・広島や苦手な鹿島、今季躍進を果たした大宮相手に、力強く勝ち点3を奪っていった。7月下旬に城福浩前監督の後を継いで篠田監督が就任すると、その後のリーグ戦の成績は8勝2分2敗。最初の出遅れにより年間および2ndステージの順位は9位にとどまったが、チームは低迷を抜け出し、完全に復調したと言っていいだろう。
「難しい戦い方をしているわけではない。ただ、チーム全体でハードワークすることをベースに、選手たちが自分の特長を出せているところが大きい」
主将の森重はチームの現状をこう語る。前線の前田、そして2列目の東、中島、河野は相手に対してプレス、プレスバックを繰り返すなど守備から試合に入る。それら前向きなプレーは、梶山と田邉のダブルボランチが苦手とする守備のリスクも軽減でき、チーム全体が前に向かうことで守備から攻撃へのスムーズな切り替えを可能にしている。もちろん堅守を誇る森重と丸山の日本代表CB陣、現在は左SBに入り積極性を発揮している室屋、右SBでも安定したプレーを見せている橋本の両サイドも攻守で存在感を発揮。GK秋元も終盤戦は安定したセービングが光った。
そんな好調のFC東京だが、今回の天皇杯4回戦は代表勢の森重と丸山が不在。しかし、調子を取り戻したチームにとって天皇杯のタイトル奪取は再度自信をつかむ好機であり、同時に今季悔しい敗れ方をしたあの大会への来季リベンジに向けた挑戦である。
「何とかもう一度、ACLにトライしたい」(東)。5月の上海、後半ロスタイム弾を浴びて負けたあの瞬間(ACLラウンド16第2戦・上海上港戦・0●1)を、選手たちは忘れていない。
そう、FC東京にはこの天皇杯をどこよりも勝ち上がるためのモチベーションがあるのだ。まずはホンダFC戦。ここでつまずくわけにはいかない。(西川 結城)
■Honda FC
スタイルを貫徹。目指すは07年度以来の8強
JFL勢で唯一天皇杯4回戦に駒を進めたホンダFCは、6日のリーグ戦(2ndステージ第14節)でラインメール青森に4-0で勝利し、2ndステージ首位をキープした。チームはその後、地元の静岡県浜松市には戻らず、都内で調整。ここまでJクラブを立て続けに撃破してきたが、今回はついにJ1のFC東京と対戦する。
ホンダFCは07年度大会でもベスト8に進出しているが、この成績はJ2が発足した99年以降ではJFL勢最高成績タイ。FC東京に勝利すれば、ベスト8進出となり、07年度の成績に並ぶ。
注目はホンダFCの戦い方。タレントぞろいの相手に一泡吹かせるために選択するのは、“スタイルの貫徹”だ。井幡博康監督は言う。
「ボールの動かしだったら負けない、という自信が選手たちにもある。トレーニングもその部分を重点的に行っているので、そこで勝負したい」
ショートパスを軸にゴールを目指すのがホンダFCのサッカーで、それをFC東京戦でもやり抜く覚悟だ。C大阪などで活躍したベテランの古橋達弥は「個人で見たら相手のほうがレベルは高いが、集団でプレーできればチャンスは作れると思う」と話す。
また、FC東京は日本代表に招集された森重と丸山が不在のため、主力のCBを二人とも欠くことになる。もちろん、彼らの代わりに出る選手たちのレベルも高い。それでも、主将の鈴木雄也は「核の選手が抜けるということは、どのチームにとっても大きいと思う」と語り、つけ入るスキはあると考えている。
あとは、雰囲気にのまれないことが重要になる。この精神面については、井幡監督も「のまれてしまうとサンドバックになってしまう」と懸念している。試合開始直後は硬くなることもあるだろう。しかし、その時間が短ければ短いほど、単純にサッカーとして見ごたえのある展開になるはずだ。チャレンジャーの姿勢は変わらない。目指すは勝利のみだ。(青木 務)